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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

マクタン通信(Ⅹ)

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この国の人びと

 ホテルのオープン・レストランでブランチをとったあと、そのままビーチサイドのチェアに横たわり、老眼鏡をかけて文庫本を読む。文庫本に飽きると、ビーチで泳いだ。海からあがり、体についた潮を流すためプールで泳ぎなおす。結構な距離を平泳ぎしていると、プールサイドにガイドのドンさんがあらわれた。近所に住むタクシー運転手と、驚いたことに、ニキを連れている。ニキは白いワンピースを身に纏い、見違えるような清楚さをふりまいていた。3人はプールサイドのチェアに腰掛け、カラマンシを飲みながら、わたしがプールで平泳ぎするのを笑顔で眺めている。ドンさんが声をかける。

  「社長、今日は、どこでランチを食べましょうか?」

 昨日は中華料理だった。今日はスペイン料理にしよう。シャングリラ・ホテルの近くにある老舗のスペイン・レストランに連れていかれた。そこに、ドンさんの奥さんと娘さんもあらわれた。わたしの役目は、こういう人たちにランチを御馳走することだ。かれらにとって、レストランでの食事は、味覚と栄養のチップのようなものかもしれない。少し高くつくが、日本で学生たちに振る舞うことを思えば安いものだし、大勢でわいわい食事するのはとても楽しい。この日は、イカスミのパエリアと牛舌のシュチューを堪能した。

81カルカル09パエリア


 かれらは貧困のなかにいる。しかし、みなあかるく、たくましい。そんなかれらを、わたしは好きになっていった。かれらはかれらで、わたしのことを「ストリクトな日本人」だと思っていたというが、マルセロ大橋でのジョギングあたりから、「変わった日本人」という印象に落ち着いていったらしい。

 道路がでこぼこで、路肩がゴミだらけなのは、かれらのせいではない。政治がわるいのだ。なにもかも知りながら、すべてを受け入れて、たくましく生きるかれらと過ごすことで、わたし自身もあかるさを取り戻すことができた。


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 ドンさんとの最後の会話は日本語と英語のちゃんぽんだった。

   「社長、地震や津波が怖くなったら、いつでも帰ってきてくださいよ!」

   「えぇ、See you next week !! 」


 空港の免税品店でペソを使い尽くしたと思っていたのだが、帰国後、財布から紙幣がでてきた。数えてみると、450ペソほどある。また、フィリピンに行け、ということかもしれない。 【完】







  1. 2011/04/13(水) 00:00:30|
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