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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

手のひらの音楽

01ポーム03


五臓圓ポームを訪ねて

 放課後の夕方、五臓圓ビルを再訪した。
 3月末の竣工、そしてオープン、おめでとうございます!!

 集中講義でビル工事を視察したのは1月29日のこと。見学後、ゼミ生一同「ダウラ」に移動し、紅茶しながら五臓圓ビルの感想を語りあった。五臓圓ビルの未来は2階のカフェにかかっているだろう、というのが、そのときの共通意見である。ダウラはリピーターの多い紅茶専門店だ。スリランカを中心に、インド、ネパール、中国の茶葉を仕入れて、聞いたこともない名前の紅茶を何種類も飲ませてくれる。また、手作りのスィーツやカレーが、その紅茶にじつによくあって美味しい。五臓圓ビルのカフェは、はたしてダウラのライバルたり得るのかどうか、が話題になった。

 オープンからまる1週間を経た4月6日にぼくたちは五臓園ビルを訪れ、2階の「ポーム(Paume)」でコーヒーを飲んだ。一人はエスプレッソ、もう一人は五臓圓スペシャルブレンドコーヒー。味が似ている。エスプレッソにしては薄く、ブレンドコーヒーにしては濃い。大きな違いを感じない。スィーツはガトーショコラにした。美味しいですね。五臓圓ビル新生オープン記念「ダイヤレモンサイダー」も飲んだ。キリンレモンの原型ともいうべき純なソーダの味がした。かつて大繁盛したというレストラン「ソーダ・ファウンテン」に因むメニューである。

01ポーム04メニュー  店の名「ポーム(Paume)」はフランス語で「手のひら」を意味する。それは、「手づくり」をイメージさせる言葉なのだと説明された。ポームのドリンクとケーキはすべて「手づくり」なのだという。しかししかし、それをいうなら、ダウラだって、蕎麦切り「たかや」だって、みな手作りではありませんか。地産地消のこだわりだってある。「手づくり」だけならどこにもある、ということです。
 メニューを示しておこう。

  GOZOENオープン記念サイダー ¥300(限定160本)
  五臓圓スペシャルブレンドコーヒー  ¥350
  カプチーノ ¥400  
  エスプレッソ  ¥350
  ミックスジュース  ¥400
  オレンジジュース  ¥300
  グレープフルーツジュース  ¥300

  ロールケーキ(大江ノ郷の卵と鳥取県産米粉を使用)   ¥400
  本日のケーキ〈ガトーショコラ〉  ¥400

01ポーム02サイダー01



01ポーム02サイダー02  まだ、数が少ないですね。開店したばかりだから仕方がないか・・・今後ドリンクやスィーツが増えていくことでしょう。値段が安いのはよいことです。若者たちが寄りつきやすくなる。ただ・・・ただし、こういうカフェは、やや高くついても、特別なものをいただけるほうがよいと思います。ここでなければ口にできないものが必要ですね。再びダウラを例にとるならば、シッキムやアッサムのビンテージは一人前で千円前後しますが、滅多に入手できない紅茶だから、高かろうとなんだろうと、ビンテージものがあるときは、それを注文します。非日常のレトロ建築空間には、非日常のメニューが必要であり、非日常であるからには値段が高くても、よい味、良い気分を味わいたい。

01ポーム01


 ここで、難題につきあたりましてね。とても困ってしまった。ご存じのように、毎日の記事にユーチューブの音楽をはりつけるのですが、ポームに似合う音楽を探せない。思いつかない・・・
 建物は綺麗になった。明るくなった。そのことでジャズやボサノバのイメージからは遠のきました。フランス語の店だからシャンソンかといえば、やはりそうではない。シャンソンもまた夜に唱う諧謔の詩であり、ポームの空間とはずれている。宇陀松山の鄙びた大衆食堂でレスター・ヤングが聴きたくなったのは、店内が薄暗く、古臭い空気の吸えるところだったからでしょう。明るく綺麗なレトロ建築になったからといって、クラシックがあうわけでもない。民族音楽もちがうなぁ・・・となると、イージー・リスニングでしょうか。歯医者さんの待合い室とか東横インのロビーで流れている軽音楽。べつにこの類の音楽はわるくない。緩いヒーリング・ミュージックが、せわしく働く現代人を癒してくれるのはたしかですから。ただ、有線放送をひっぱってくるようなことだけはしてほしくありませんね。ダウラにせよ、たかやにせよ、カナイチヤにせよ、音楽に対するこだわりは相当なものです。店の経営と音楽は切り離せません。
 こんど訪れるときには、音楽を注意深く聴いてみますよ。いったいオーナーは、五臓圓ビルとポームにどんな音楽が似合うと思っているのか。これで占えるかもしれません。

 少々辛口でしたが、五臓圓ビルとポームの未来に(ソーダで)乾杯!!






  1. 2011/04/14(木) 00:33:58|
  2. 建築|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2
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コメント

ちょいとレトロな音楽

 個人的な好みですが、こういうちょいとレトロの喫茶店では、
フレンチポップスがよろしいですな。
 シルヴィ・バルタン、フランソワーズ・アルディなんてオシャレでよろしいような。
 ポルナレフも聴きたいですね。
 シャンソンほど重くなさそうですし
(サルコジ大統領夫人のカーラ・ブルーニもいいです。シャンソンに入るかもしれないけど)
  1. 2011/04/14(木) 20:43:26 |
  2. URL |
  3. mifu #qbIq4rIg
  4. [ 編集]

ことの核心

「ちょいとレトロ」という表現がまさしく核心をついていると思います。本来「レトロ」な戦前のビルの内装が新しくなりすぎてしまったんですね。煉瓦の壁を厚いファウンデーションで覆って白い空間が生まれた。レトロというよりもニュートラルな空間に変身してしまったわけです。「時間」と「風土」を消去した結果、ニュートラルになり、ニュートラルになることで一定の音楽と結びつけにくくなってしまったんだろう、と思う次第です。
フレンチ・ポップスですか・・・いちどポームでくつろいでみてください。個人的な趣味ですから、わたしがどうのこうのいう資格はありませんので。じつは、ベンスーザンの「ソーロング・マイケル」を貼り付けることも考えたのですが、ちょっと悲しすぎるかな、と思ってやめました。
  1. 2011/04/14(木) 22:25:57 |
  2. URL |
  3. asax #90N4AH2A
  4. [ 編集]

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