
12日のプロジェクト研究における「むらおこし班」の活動によって、O家の裏庭に繁茂する雑草のひとつが
ノラノンジン(野良人参)であることが判明した。人参の野生種もしくは原生種であり、外来種であるという。帰宅後、ネットで検索し、調べてみたところ、 「花図鑑」の
ナ行の一項目や「
モミジガサの探し方」というブログに説明があり、それらを整理し要約してみよう。
ノラニンジン(野良人参) 別名:ワイルドキャロット WILD CARROT
アン王女のレース QUEEN ANNE'S LACE
学名:
Daucus carota 科属名:セリ科ニンジン属(1年草)
原産地:西アジア~地中海
草丈:30~100cm 開花期:7~9月 花色:白 花序径:15~20cm
葉と花はニンジンそっくりだが、根は赤くなく、細くて「食用にならない」とされる。ただし、毒性があるわけではない。欧州ではノラニンジンの種子からエッセンシャルオイル(精油)が抽出され、アロマテラピーでは、とくに成熟肌のフェイシャルマッサージによく利用されるという。ドイツ系米国人に至っては、ノラニンジンの種子に「通経薬」や「事後避妊薬」の薬効を認めていたとあり、驚いた。また、高麗人参のニセモノとして根っこの粉末を販売する悪徳商人がいたとも、どこかに書いてあった。

さて、わが家では「人参菜のかき揚げ」をときに食卓に並べることがある。普通の人参ではない。根は小さく、葉振りがよい菜っ葉だ。根ではなく、葉を食べる人参である。ノラニンジンの葉と小さな根をみたわたしは「人参菜のかき揚げ」を即座にイメージした。13日の調査開始前、ノラニンジンをビニール袋2袋分採集し、奈良の家にもって帰って調理してみることにしたのである。「かき揚げにするんだ」というと、学生たちはみな「美味しいんじゃないですか、食べられますよ」と答えたが、帰宅して材料を目にした家人は露骨にヤな顔をした。ナガシの水槽をノラニンジンが占拠してしまったからである。
翌14日の昼、さっそく調理実験をした。「人参菜のかき揚げ」と同じレシピである。


1)茎から葉をちぎりとり、水洗いしてからザルで水切りして、ボールいっぱい
葉を納めた。小さな根っこも洗浄して小さく切りわけ、葉に混ぜた。
2)ボールに入った葉と根に小麦粉をまんべんなくふりかける。
3)鍋にはったてんぷら油に小分けした葉・根を入れて揚げていく。
(温度が高いと葉の緑色が薄れ、茶色になる)
4)揚げて油切りしたかき揚げを天汁(てんつゆ)につけて食べる。
わたしが調理し、二人で食べた。不味くはない。が、とくに美味いわけでもない。揚げた分はとりあえず二人で食べつくした。ただ、例外がある。根っこだけは食べられない。固いのである。煮ても焼いても食えないとはこのことであろう。いろいろなサイトが口をそろえて「食用にならない」と記しているのは、この根の固さゆえのことである。それが実際によくわかった。

そもそもニンジン(人参)とは、根を食用にする栽培植物であり、葉が成長する前に収穫すべき野菜である。茎がのびて葉がひろがり、さらに花をつけてしまうと、葉や花に栄養分が吸収され、根が萎んで固くなってしまう。5月のいま、白い花がぽつりぽつりと咲き始めている。これが、夏になると、ひまわりのように大輪の華となる。だから、花咲く前の葉が小振りのうちに収穫しなければならない。ひょっとしたら、ノラニンジンも間引き菜のようなものならば、根っこが食べられるかもしれない。蓬がそうであるように、ノラニンジンの葉もまた、地面を這うような間引き菜状態のものが美味しいであろうと思われる。
上に述べたように、「ノラニンジンのかき揚げ」は葉だけならば十分食用に値する。ただ、とくべつに美味しいわけではない。それが結論である。

フランス人のクレモンティーヌが歌うバカボンのテーマ曲。ボサノバ調で癒してくれます。(アジガル選)
- 2011/05/17(火) 00:13:54|
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