ベルフル わたしの携帯電話はめったに鳴らない。とくに午前中には鳴らない。携帯のアドレスに登録している方々なら、午前中わたしに電話すべきでないことぐらい百も承知だからだ。
先週のことなんだけど、そんな携帯が午前に鳴った。登録されていない番号だ。若い女性の声がした。男でなくて良かった。男の声でモーニング・コールなんかされたら不調のまま一日が過ぎていくだろう。
事務所協会からの電話だった。昨年11月の転居以来、あらゆる事務手続きは済ませたと思っていたのだが、設計事務所「魯班営造学社」の住所変更届けをしていなかった。だから、郵便物が戻ってくるのだそうだ。しかも、「講習」の申請締切が翌日に迫っているという。
大学で一仕事こなしてから協会を訪れた。住所変更の手続きは簡単だったが、講習申請は楽ではない。とりあえず、顔写真を2枚用意するためにカメラのキタムラへ移動。プリントに少々時間がかかるというので、申請書類の記載でも始めようと近所のサテンを探した。どうも昭和の喫茶店というのは車道から入りにくいというか、駐車場と店が離れているというか、いろいろ難儀があってうろうろしていると、ワッフルの店が視界にあらわれた。大きな駐車場がある。引き込まれるように、すぅ~っと店に入っていった。

平成型のカフェはこんなふうに便利になっている。パン屋さんやケーキ屋さんがカフェも併設しているのだ。あるいは、「豆蔵人」のように珈琲豆を売ったり、「フィーユ」のように紅茶葉を売ったり、「ダウラ」のようにジャムを売ったりしているのである。こういう工夫をしないと、儲からないんだね。某キッチンの経営者によると、ごく普通のカフェ&レストランで収益をあげるのは非常に難しいとのこと。ランチが数百円、食後の珈琲にいたっては100~150円だからね。顧客一人あたりの純益はしれたものです。
プレーンワッフル一つとブレンドコーヒーを注文し、テーブルに就いたところで、カウンターの下に貼ってある台湾スウィーツ「雪花氷」のポスターに気づいた。食べたことないのだが、店員さんの説明によると、「かき氷とソフトクリームが混ざったような」デザートだという。早速注文し、ワッフルはテイクアウトに変えた。
ベルフルのお隣はローソンです。

講習の申請書類はやっかいだった。書類の空欄を埋めて写真を貼り付けるだけでは済まない。参加費15,750円を振り込み、自分以外の建築士によるの第3者証明の署名・押印が必要になっている。翌日までに、これらすべての手続きを終えるのは不可能だと思った。ただし、逃げ道は設けてある。秋期にもういちど講習の機会があり、また他府県で講習を受けてもかまわない。大学のスケジュールを考えるならば、後期に受講するのは避けたいので、さっそく奈良の事務所協会に電話して日程等を訊ねたのだが、やはり申請の締切は翌日で、しかも書類は「持ち込み」に限定されている。郵送は駄目だというのである。ところが、ここにもまた逃げ道があった。
西大寺に「綜合資格」という専門学校があって、そこでは月にいちどのペースで講習会を開いているというのだ。ならば、夏休み中に講習を済ませてしまうのがいちばん楽ではないか。雪花氷を舐めながら、そう決めた。
雪花氷は、もちろん美味しかった。あとでその話をしたら、たいていの方はワッフルのことも雪花氷のことも知っていた。一年前まで、今の場所には有名なパン屋さんが店を構えていた。そのパン屋さんは相当好評で、いまは本通り(若桜街道)に店を移したらしい。一方、ベルフルというワッフル店は大丸デパートに本店があり、わたしの入った店は2号店のようだ。
音楽は、まったく趣味にあわない。リズム&ブルースがヒッピホップなんかの影響をうけてハイカラになったような印象をうけたが、この手の音楽を「産業ロック」と呼ぶ人もいる。商業主義のロックだということで、有線にちがいないと思ったんだが、「いえ、CD」ですと言われた。たしかにカウンターの片隅に小さなオーデイィオが置いてあった。面積節約のため左右のスピーカーを上下に重ねている。常識ではありえないレイアウトに仰天しつつ、音はそこそこまともに聴こえてくるから、笑わずにはいられなかった。CDを出してみせていただいた。サバイバーという厚化粧ユニットの『デスティニーズ・チャイルド』というアルバムだった。わたしの趣味にはあわないが、店の雰囲気とずれているわけではなく、音量を抑えることで、耳障りな印象を回避している。

サテン名: ワッフル専門店「ベルフル(Bellfull)」
住 所: 鳥取市新111-1
電 話: 0857-22-8821
これが流れていた音楽です。できるだけ音量を小さくしてお聴きください(お店もそうしてました)。おじさんたちの目の保養にはなるかもしれないな。
- 2011/06/03(金) 00:00:33|
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