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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

医食同源の空間をめざして(Ⅵ)

エスキス・チェック

 7月の声を聞いて、ますます暑い日が続いていますね。
 6月30日(木)のP1&P3では、古民家再生に関して初めて本格的に教授の指導を受けました。
 まずは「復原的改修班」から。この班は1年の匠くんがリーダーですが、先生は匠くんの平面図に納得いかないようでした。とくに復原する土間の空間構成に問題があるようです。民家の土間は「トオリニワ」とも言い、オモテとウラの外部をつなぐ役割があるのですが、匠くんの案はコ字形に折れ曲がる身障者用スロープがウラに出る戸口を塞いでいます。また、下駄箱の位置にも問題があり、それらの点について修正の指示をうけました。
 土間を復原すると、台所を別の位置にもっていかないといけません。匠くんは裏庭に面するナンドと隣のアイノマの2室を台所にあてる平面案を示したのですが、こうすると、1階で薬膳レストランと料理教室にあてるスペースが非常に狭くなるので、先生からはウラのツノヤを増設することで厨房を新設し、屋内外に食事を供給するように指示がありました。
 一方、「現状維持的改修班」のリーダーは白帯さんです。現在の玄関や台所をほぼそのまま活かす平面計画で、コストは低く抑えることができるでしょうが、スロープの設置などは非常にやっかいです。それでも、先生によれば、白帯さんの案は匠さんの案よりよく出来ているそうです。
 両案とも、土間と接する板間を間仕切りなしの大空間として使い、背面半分はスロープや階段に接続するホワイエ、正面側に車椅子で着座できる背の高い大きなイロリを設けることになりそうです。そして畳座敷は正面側の2室が椅子座のレストラン、背面の2室を料理教室に使用します。2階については、3案提示されましたが、さらに検討を重ねることになりました。2階にも板間のホワイエ兼会議室のようなスペースを設け、正面側の大きな畳座敷2室は食堂・会議・宿泊の兼用とし、小さな畳座敷は収納室にあてることになりそうですが、さらに検討が必要です。
 わたしの仕事はレストランなどに用いる椅子・テーブル・照明、あた車椅子の方のための昇降機などのカタログを徹底的に漁って、あの民家にふさわしいインテリア・デザインを考えることです。田園クリニックのラウンジの家具がとても素晴らしいものだっただけに、あれに負けない家具を探し出したいと思っています。古民家のよさを引き出すだけでなく、ユニバーサル・デザインのインテリアになるので、とても重要な作業になると思います。


 翌7月1日(金)にはさらに計画について指導をうけました。前日はトマトさんが参加されていましが、この日はアシガルさんが参加されました。アシガルさんは古民家の立面図を実測しましたが、先生は引き続きその「修景」案の作成を依頼されました。もともとO邸は「広間型五間取り」の平屋の茅葺き民家であったのを昭和初期に建て替えて2階建瓦葺きにしたものです。この2階の背が高く、1階とのバランスが良くないので、2階の意匠を「分節化」することを先生が提案されました。具体的には2階の窓の外側に幅1尺ほどの縁をめぐらせ、手すりを付加するというアイデアです。この手すりの水平線によって、のっぺりした2階の意匠が分節化されるという考え方です。また、窓がアルミサッシになっているので、大正末~昭和初期の意匠をもつ板ガラス窓に変えることにしました。この窓や手すりの意匠は、倉吉の町家デザイン・ソースを活用して、建設年代にふさわしい外観に修景する予定です。
 庭については、オモテは現状のままとし、裏庭にバーベキュー・スペースを4ヶ所設けます。いまある石組などを利用し、その上に葡萄棚を架けて蔓性植物の屋根で覆うのです。椅子やテーブルは石造を想定しています。問題がバーベキュー・スペースに至る導線ですが、おもて庭から裏庭に入るのは無粋ですので、駐車場から直接裏庭にぬける小径を造る必要があります。そのためには、屋敷の裏側にある納屋・作業小屋を塀に沿う位置まで後退させることを提案せざるをえないようです。

 発表まで間がないですが、協力し合っていい研究にしたいと思います。なお、発表会は7月25日(月)です。大学での発表(1・2年生)はおそらく午前でして、計45分を1/3ずつ各班に分ける予定です。午後には、3年生以上を加えた建築・庭園班の発表をO邸でおこない、そのままバーベキュー大会に移行することになりそうです。(情報システム学科1年O.U)




ダイブの後は「死」しかない。昨夜、ミッキー・ロークはそう答えた。謎は解けたのである。
  1. 2011/07/05(火) 02:12:02|
  2. 建築|
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