紳助のいた街 訊きもしないのに、ガイドさんが「島田紳助が2年ばかり前に来たんですよ」と教えてくれた。紳助の芸能界引退宣言から数日後のことである。テレビのロケで、ルアンプラバンの宣伝をしてくれたのだという。感謝の気持ちを滲ませていると同時に、日本人から最新の情報を引き出したい意図を感じなくもない。いつものように意地のわるい私は、
「熊田耀子かだれか、若いタレントを連れてきたんじゃないですか?」
と質問した。
「いえ、奥さんとお二人でした」
と答えたガイドさんは、さらに言葉を続けた。
「とても閑かな方でした・・・」
賑やかな教師に対する揶揄と聞こえないこともなかったが、私は「疲れてたんでしょうね」と推測し、ガイドさんは首を縦にふって頷いた。
日曜日の10チャンネル、昼から「委員会」「笑点」「行列」とみる。このなかで、笑いの質が高いのは圧倒的に「笑点」である。頭がカラッポになったような爽快感が残る。「委員会」はもうマンネリで、とりわけ辛坊某の出しゃばりが最近目に余りますね。あれは司会ではない。


かつて「行列」の時間になると、家族全員がリビングで大笑いした。そういう時代が何年間かあったのは事実である。それが最近ではなくなった。家族の多くは「視たくない」といって席を立つ。わたしは一人「行列」を視るのだが、やはり途中からたまらなくなり、しばしばチャンネルを切り替えるようになった。「行列」はもはや危険水域に落ちこんでおり、24時間テレビを巻き込みながら終焉に向かって雪崩をうっているように思えてならなかった。夏休み沖縄ロケもひどかったが、24時間テレビ直後の「行列」はすでにして危篤を思わせた(24時間テレビそのものは全くみていない)。
島田紳助が吉本興業から引退通告を受けたのは、その、最後の「行列」の直後であったという。
ホームドクターの待合室で読んだ『週間朝日』に、紳助と元世界チャンプの間に交わされた全メールが掲載されていた。「引退やむなし」と言うほかない。「懲戒免職」を逃れただけでも奇跡的の感すらあり、今後「逮捕」のような事態にまで発展する内容を含んでいる。多くの女優・タレントの実名がでているあたりがじつに危ない。衝撃の引退宣言ではあったけれども、本人をはじめ、周囲も、視聴者の多くも、このオチを予感していたのではないか。
予想だにしないオチではないという点で、紳助は未だ「笑点」を超えていない。

↑メコン名物、川海苔
- 2011/09/09(金) 13:45:31|
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