悲報 29日、バガンで日本人女性がバイクタクシーの運転手に殺害された。2007年のヤンゴンにおける日本人ジャーナリストの殺害は、軍事政権の発砲によるものだったが、2009年以後「民主化」が進んでいるなかでの惨事に言葉を失った。
そうこうしていると、今度はFIFAが2018年W杯ロシア大会の予選からミャンマーを排除することを発表したというニュースが飛び込んできた。ミャンマーはこの7月におこなわれたブラジル大会2次予選のホーム試合で観衆が暴動をおこし、試合が打ち切られていた。
悪いニュースの連射だ。こういうネガティブな報道に接し、国際的なミャンマーの印象が著しく悪化することをとても心配している。
軍事政権の支配がながく続き、その勢力がいまも力を失っていないという現実があり、ストレスのはけ口として僧や民衆のデモがおきたり、サッカーファンがフーリガン化したり、貧困に悩む人民が悪事をはたらくこともたしかにある。しかし、それ以上にミャンマーは魅力に満ちた国である。仏教の教えにしたがう穏やかな国民性に深い感銘をうける。実際に訪問してみると、治安の悪さをそれほど感じるわけではない。
タクタクの運転手に殺害された女性とその家族については深い哀悼の気持ちをあらわしたい。しかしながら、一人旅の女性が危険であるのは、ミャンマーだけの話ではないはずだ。ミャンマーがとくに危険な国であるという印象が偏見にちかいかたちで定着していくことをわたしは畏れている。
バガンはシェムレアップに匹敵するまちだ。バガンの仏教遺跡群はアンコール遺跡群に比肩しうるということだ。モミュメント個々の水準はアンコールにやや劣るかもしれないが、仏教遺跡群の「景観」はアンコール以上だろうというのがわたしの評価である。だから、ひとり旅でバガンを訪れたいという気持ちはよく分かる。その場合、けちってはいけない。予算は跳ね上がるかもしれないが、ちゃんとしたタクシーのドライバーとガイドをつければ、十分安全になる。銀行がまともに機能しておらず、外貨のエクスチェンジを「闇」でおこなうしかなかったり、レートもいい加減きわまりないが、いまのミャンマーの場合、お金をかけてよいホテルに泊まり、ちゃんとしたガイドに案内してもらうしかないのではないだろうか。
なんどでも書いておきたい。仏教を篤く信仰するミャンマーの国民は、基本的にとても優しく、穏やかだ。仏国土(浄土)とはミャンマーのことをいうのではないか、と思うほど、わたしはミャンマーの風景と民族文化に魅せられた。どうか、偏見をもたないでください。

↑マンダレー街中の僧院
- 2011/10/01(土) 04:28:31|
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