ポーズ -時は消え去りて 特養を訪問するには、小銭が必要だ。べつに入園料が必要なわけではない。お袋に自動販売機の缶ジュースを買ってやったり、菓子を買う小遣いを与えたりするだけのこと。ところが、あの日、財布には5千円札が1枚あるだけだった。そうだ、「ポーズ」に行こう、というアイデアが浮かんだ(お茶すれば、お釣りがもらえる)。『ならカフェ』に紹介されている店で、特養の近くにあるのだが、よく閉まっていて、まだ入ったことがない。
店は開いていた。壁にかけてあるニール・ヤングのLPジャケット『今宵その夜』がただちに視野に飛び込んできた。『今宵その夜』の隣はディランの『フリーホイーリン』だ。嬉しくなった。田舎のアメリカにありそうなカフェをイメージできるインテリアで、家具の大半は中古だと思われる(間違っていたら、ごめんなさい)。
珈琲とワッフルを注文した。そこで、一人だけいた客が消えた。これ幸い、「ニール・ヤングを聴かせてくれませんか」と頼むと、ホットパンツのアルバイターは厨房のマダムに相談し行った。以下、問答。
「ニールのCDなら、たくさんありますよ」
「『時は消え去りて(Time Fades Away)』ていうライブ盤はありませんか?」
「あれっ、どうだったかな? こちらの棚に並んでいるCDをちょっとみてください。これは?」
「Old Ways」
「カントリーだなぁ」
「Harvest Moon」
「これも、カントリー」
「Greatest Hits」
「文字どおりの、ベスト盤です」
「Everybody Knows This Is Nowhere」
「これ、デビュー作? 2作めか」
「Harvest」
「これがいちばん売れたんだ、これでもいいけど」
「Unplugged」
「90年代の名ライブだね、まだ若かった・・・」
「Living With War」
「還暦記念反戦アルバム」


という流れで、棚に並ぶニールのアルバムをほぼ漁ったのだが、『時は消え去りて』はみつからなかった。あとで調べてみたのだが、『時は消え去りて』はCD化がなされていないようである。想い出深いLPなんだけどね。とくに下に貼り付けたバラードが良かった。
こうなると、まぁ『ハーヴェスト』ですよね。極楽でした。リクエストでニール・ヤングを流してくれる店が近所にあるなんて。リピータになること、間違いなし。
さらに驚いたことに、マガジン・ラックにブルータス別冊のコルビジェ特集号を発見した。ニール・ヤングとコルビジェですよ。いったい何なんだ、この店は。
『ハーヴェスト』は「オールド・マン(老人)」まで聴いた。「アラバマ」まで粘りたかったのだが、時間もないし、「時は消え去りて」と「老人」のイメージがだぶっていて、ちょうど潮時だと思ったのである。
(この映像は『時は消え去りて』とは無関係です)
- 2011/11/02(水) 00:09:08|
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