雪のシンポジウム 16日から17日にかけて、この冬最大の寒波が山陰地方を襲い、既報のとおり、17日午前に予定されていた「栃本廃寺跡を訊ねるバスツアー」は中止になりましたが、シンポジウム「山林寺院の原像を求めて」は予定どおり13時より開催の運びとなりました。定員70名に対して66名もの参加者があり、喜んでおります。これもひとえに皆様がたのご支援の賜であり、深く感謝申し上げます。
前半のセッション「仏教寺院の原像を求めて」では、まず箱崎さん(奈良文化財研究所)に「山林寺院の研究動向」と題する講演をしていただきました。40分という短い時間のなかで、山林寺院に係わる考古学・建築史学の全国的研究動向をじつに要領よくまとめてくれたと感心した次第です。ついで、眞田さんの講演「キジル千仏洞をたずねて」。この講演は、ほんらいならば、クチャ調査の主体たる浅川研究室が担うべきものだったかもしれませんが、同行された仏教考古学の大家に委ねたほうがよいと判断した次第です。それにしても、ちょっと終わるのが早かったですねぇ・・・なんでも、わたしとクチャのガイドさんのツーショットの写真をパワポの最後にしのばせていたそうですが、結局、眞田さんは映さなかった。わたしに遠慮したようですが、司会者として意見を述べるならば、映してくれたほうが良かったですね。あんなに綺麗で上品な中国人の女性は滅多にいるものではなく、わたしが鼻の下をのばしている写真がスクリーンに映しだされたならば、客席はどっと笑って(嗤って?)くれたでしょう。そうすれば、仁風閣の寒さも、少しは和らいだかもしれません。
重要文化財「仁風閣」の寒さ それにしても、仁風閣は寒かった。モスクワよりも、サンクトペテルブルグよりも、シベリアよりも、サロマ湖よりも仁風閣は寒かった・・・シンポ評価のアンケートは1名を除き「A.大変良かった」「B.良かった」との予想外の高評価を頂戴しましたが、悪かった点を列挙しますと、
・文化財は寒い。しみじみ分かりました。
・寒すぎて頭が回りませんでした。
・寒かった。しかし、仁風閣に久しぶりに来られた。
・基礎知識なくしては理解が深まらないことを再認識した。非常に寒かった。
・会場がとても寒かった。
・寒かった。
・寒すぎて集中できない。
・会場が寒かった点
・さむかった。
という「寒かった」オンパレードです。


休憩に入っても、話題は「寒い、寒い」の一点集中。会場にいる全員が震えている状態で、わたしはスーツの下にパッチを穿かなかったことを心底悔やみました(眞田さんは穿いていた!)。
まもなく、後半のセッション「栃本廃寺と摩尼寺奥の院遺跡」がスタート。加川くんと岡垣くんが、手際よく発表してくれました。なお、今年度のボーリング調査については、岡垣くんの発表後、わたしが簡単に説明しました。その後、設営変更の時間に質問用紙を回収し、パネルディスカッションへ。司会が感じていた疑問と会場から回収された質問用紙の内容には一致するところが少なくなく、アドリブ的なコーディネートでしかできませんでしたが、質疑は比較的順調に進んでいきました。
「寒さ」の点で、参加者の皆様のご不満が多かったこと、このように、よく承知しております。わたし自身、身に沁みました。しかし、あれが重要文化財を活用することなのだとも自覚できました。皆様方には大変ご迷惑をおかけしましたが、長い目でみれば、悪い経験ではなかったと将来思えるような気がしています。【続】
- 2011/12/23(金) 00:00:17|
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