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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

新春大和路徘徊(Ⅱ)

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今井町の町並み

 今井町が重要伝統的建造物群保存地区に選定されたのは平成5年。寺内町として大阪の富田林と並ぶ町並みを誇ります。中世の環濠集落を母胎とし、天文年間の頃に寺内町が誕生、現在の町割は慶長年間には成立していたとのことです。東西600m×南北310mのエリアが重伝建地区に選定されており、寺内エリアの全域が対象になっています。驚くべきは、その密度。エリア内の504棟もの建物が伝統的建造物群に選定されており、一歩足を踏み入れると江戸~明治期の町家が軒を連ね、さながら映画セットのような景観をみることができます。

 また、重要文化財9件、県指定3件、市指定6件の建造物があり、とくに重要文化財は慶安三年(1650)建築の今西家住宅(↑)をはじめ、9件のうち8棟が町家です。これらが、町並みの景観形成に大きく貢献しているのは言うまでもありません。
 行政による保存整備事業も継続的におこなわれているようです。地区内には「まちなみ交流センター」、「まちづくりセンター」、「景観支援センター」「まちや館」等の機関が散在していますが、それらはすべて既存町家や県指定文化財の近代和風建築を再利用したものです。また、町家の撤去された空き地を「生活広場」と呼ぶ防災施設を兼ねたトイレ付休憩所として整備しており、空き地活用のひとつの事例として参考になりました。

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 あいにく、この日は年明け早々だったこともあり、公共施設のほか蔵元や飲食店も軒並み休業。唯一、「今井町観支援センター」(安政三年[1856])だけ灯りがともっていました。この施設には橿原市教育委員会の「今井町並保存整備事務所」が設置されているのです。公務員は4日が仕事始めですからね・・・。あつかましくお邪魔して、町並み整備に関する資料をいくらかいただくことができました。このように、行政の担当部局や観光課を地区内に設けることで、管理面だけでなく、人の流れを生むことが期待できます。現在調査中の雲州平田「木綿街道」も、昨年から市の所有となった旧石橋酒造に行政部局を置くのは不可能ではないでしょう。

 そうこうしているうちに、すっかり日も暮れ、街灯がともり始めました。地区内の町家からも格子越しに灯りがもれています。今井町は、町並み保全整備が進んでいるものの、観光地というよりは、生活の匂いがする重伝建地区のように感じました。バイパスに面し、近隣にショッピングモールもあったりして、都市圏のベッドタウンとなっていることも要因かもしれませんね。

 新年早々の思いがけない「お年玉」でお伊勢参りと大和路旅行が叶い、幸先のよいスタートとなりました。来月には大きなシンポジウムも控えており、さらに気を引き締めて精進したいと思います。(正月5kg増のお腹も引き締めなければなりません・・・ / タクヲ)


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  1. 2012/01/14(土) 00:20:55|
  2. 景観|
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