2年前の11月、大覚寺のマンション(3DK)に「移住」して以来、人生が少々ラクになった。寒暖に伴う空調、キッチン、トイレ、風呂、デジタルTV、オーディオなどが揃い、ようやく人並みの生活に追いついたような気がする。おかげさまで、鳥取に住むことの「持続可能性」を10年めに実感できたのである。
先週、入試関係の業務で福岡に出張した際、10歳ばかり年上の新任教員から「古民家に住み、休耕田を耕して暮らしたいので、よい物件があったら紹介してほしい」との相談を受けた。長く都会暮らしをしてきた方々には、古民家に住み、休耕田を耕すことが夢のように思えるのかもしれない。人生晩年の生き甲斐にしたいのである。これに対して、「休耕田での米づくり・野菜づくり」を持続させるためにも、住まいは「マンションのほうが良いですよ」と敢えてアドバイスした。あるいは、かりに古民家に住むならば「相当な修理代をかけて改装する必要がありますよ」とも述べた。
「修理代をあまりかけたくない。少し前まで人が住んでいたような物件がいい」とその先輩は宣う。残念ではあるけれども、そんな良好な物件が簡単にみつかるはずはない。職場は古い施設のリノベーションで面積を確保し家賃を抑える一方、個人はマンションに住む。そういう『自遊人』編集部のライフスタイルに敬意をあらわしたい。まことに適切な判断だと思う。
なお、株式会社自遊人は、2006年の移住時に低温倉庫、物流倉庫を新設しており、2008年から主要業務を雑誌制作から食品販売事業に転換。そして、2010年には農業生産法人「自遊人ファーム」を設立している。この生業転換の根幹に「倉庫」がある。「倉庫」といえば、島根県の川本町と雲南に大収蔵庫をもつネット通信販売の古本屋「エコ・カレッジ」を思い起こす。エコ・カレッジの代表、尾野さんは雑誌『AERA』1月2日/9日合併号で「日本を立て直す100人」の一人に選ばれていた。巨大な物流倉庫を過疎地に置くことで、インターネット時代には成功を納めることができる。ならば、雲州平田「木綿街道」に残るあの酒蔵群もその流れに乗れるのではないか。空き地に倉庫を新築するよりも、酒蔵を倉庫に変えるほうが手っ取り早いのだから。【完】
- 2012/02/10(金) 00:09:54|
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