VIDEO 静かな夜に One Quiet Night パット・メセニーのソロギター第1作『静かな夜に』は1月下旬に届いていたんですが、ブログ記事にも優先順位があり、紹介が遅れてしまいました。いうまでもなく、バリトンギターと特殊な
ナッシュビル・チューニング によるソロ演奏です。他人の作品は3作だけで、他の10曲はオリジナル。現在、アマゾンでは30レビューの4★半ですが、3★ぐらいが妥当ではないかな??・・・この演奏だと、いわゆるアコギ系であって、ジャズ系ではない。後者が前者に優ると言いたいわけではありません。この系列だと、たとえばピエール・ベンスーザンのほうが上でしょうね。変則ナッシュビルも結構ですが、長く聴いていると、甲高い金属音がシャリシャリ耳についてくるばかりで、メロディが聞こえてこないのが難点ではないでしょうか。こういうとなんですが、2枚を通しで聞くと、『ワッツ・イッ・オール・アバウト』の最後の曲がいちばんいい。ごく普通のエレガット(ナイロン弦ギター)を使った「
アンド・アイ・ラブ・ハー 」です。ビートルズのバラードを飾り気なく弾いていて好感がもてる。
じつは、『静かな夜に』のスコアも入手ました。スコアのレビューは一人だけでしたが、「レギュラー・チューニングのTABもついている」と書いてあったので思わず手がのびた。でも、こうしてCDを聴いてみると、あんまり演奏する気になんないな。強いて練習するとなれば、ノラ・ジョーンズでお馴染みの「ドン・ノウ・ワイ」ですかね。上の映像がそれですが、後半になって意図的にマイナーっぽくコード進行を崩してくんだけど、これ、どうかなぁ・・・やはりメロディが聞こえてこないとね。ギターで歌いたい。
さて、また英語のお勉強です。次ページに、メセニー自身のライナーノーツを訳してみました。難しかった。ひどい訳だと思います。どなたか修正してください。
【CDセルフ・ライナーノーツ】
2001年11月24日、わたしはホームスタジオでレコーダー(録音機)をまわし、演奏の夕べを過ごした。その数年前(「ザ・サーチ」という楽曲で)うまく機能する特別なロー・ナッシュビル・チューニングを再発見しており、最近手に入れたばかりのバリトンギターに適用してみた。この素晴らしい楽器(カナダの弦楽器制作者リンダー・マンザーの作)と普通でないチューニングのコンビネーションは、和声的に異なる変化をもたらしたばかりか、常識的には行きつかないであろう演奏方法を考えるよう挑戦を促すものだった。わたしは自分自身にぴったりの、シンプルでとても静かな演奏による特殊な雰囲気を発見し、そこに演奏を落ち着かせた。翌年のツアー後にあの夕べの録音を聴き直し、心の奥底に残る何かを不注意にも途上で放り出したような気分になった。そして、ある日、オーバーダブ(多重録音)も余計な飾りもしない完全なソロギターのアルバムにしようと考えた。この場合、バリトンギターによる完全なソロ・アコースティックギターの作品である。
2002年の後半になってツアーが終わり、2~3のお気に入りの曲(「マイ・ソング」「フェリー・クロス・ザ・マーシー」と最近のものでは「ドン・ノウ・ワイ」)を選び、ツアーでは毎晩バリトンで演奏したソロ(「ラスト・トレイン・ホーム)を加えて、最初の即興演奏と調子をあわせるように再び自宅で録音した。最後に二つの新曲(「ソング・フォー・ザ・ボーイズ」「オーヴァー・オン・フォース・ストリート」)を加え、コレクションは完璧なものとなったような気がする。
入念に計画され、洗練されたスタジオでおこなってきたこれまでの録音と異なり、今回の録音は1本のギターと1本のマイクに終始した。このアルバムは本質的にひとつのサウンドであり、基本的にひとつの雰囲気であり、時間をひとつの世界の内側に深く誘い込む。ここでの結果はまた技術的にはホームメイドで、チューニングとレコーディング自体に欠陥がときおりみられることを附言せざるをえないとも感じている。あの夜の演奏は、わたし自身の研究心のためと自宅で演奏することを楽しむためのものだから(そういう欠陥が含まれる)。
しかし同時に、これらの録音作品は、あの夕べに自分自身が素直に惹かれていた音楽についての考え方をのぞき込む窓口であり、このギターとチューニングとともに過ごす時間に自分を魅了し続けた方法をうかがう窓口になった。わたしは、こうして、ごくまれに取り組む課題を示してみたのだが、(今後は)おそらく別のギターで、ユニークかつ挑戦的なソロギター演奏の世界を折にふれて探求し続けたい。それらの瞬間の記録がなにがしかの平安と喜びをもたらさんことを願っている。-パット・メセニー
曲目リスト 1. One Quiet Night(Metheny)
2. Song for the Boys(Metheny)
3. Don't Know Why(Harris)
4. Another Chance(Metheny)
5. Time Goes On(Metheny)
6. My Song(Jarrett)
7. Peace Memory(Metheny)
8. Ferry Cross the Mersey(Marsden)
9. Over on 4th Street(Metheny)
10. I Will Find the Way(Metheny)
11. North to South, East to West(Metheny)
12. Last Train Home(Metheny)
13. In All We See(Metheny)
2012/02/11(土) 00:09:35 |
音楽 |
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