町並みシンポジウム(1)-講演と報告 2月26日(日)、シンポジウム「雲州平田『木綿街道』の町並み保全 -現状と課題-」が開催されました。
一昨年の師走に振興会の方々と出会い、木綿街道に対する深い愛着と熱い想いに触れ、研究室として調査が始まったのがつい最近の事のような気がします。今回のシンポジウムは「木綿街道」の現状を理解し、今後の町並み保全の方向を探るものです。講師陣にはそうそうたる文化財関係者が顔をそろえ、振興会のご尽力もあって、定員の100名を超える参加者がありました。
シンポジウムは出雲市長の挨拶(↓)を皮切りに、振興会事務局がこれまでの取り組みを簡略的に報告後、3部構成の講演・報告・討議がスタートしました。

第1部「都市と景観」では、まず奈良文化財研究所の清水室長が「文化的景観としてみる都市と町並み」と題する講演(↓)。近年文化財保護法に加えられた「文化的景観」の定義を示し、とくに「都市の文化的景観」として保存の進む宇治・岐阜町・金沢などの実例を紹介されました。そして、モノの保存を重視する伝統的建造物群の制度と比較しつつ、文化的景観の制度では、歴史的な都市・人・建築物の間の仕組み(=町のDNA)の継承が重要であると説明されました。ついで、和田名誉教授(米子高専)の講演「近世出雲地方における在町の復元-平田本町を中心に-」。和田先生は、本石橋家の有形文化財登録の際に調書を書かれており、かねてより「地銭帳」(検地帳に相当)による出雲の在町の町割り復元の研究をされています。講演では、延宝九年(1681)の地銭帳から、あらたに平田「新町」の復元を試みられました。
休憩を挟んで第2部「雲州平田木綿街道の町並み調査報告」へ。私事ではありますが、そうそうたる講師陣と100人以上の聴衆の前での講演とあって、発表前から汗だく。
仁風閣が会場だったら汗も引いたんでしょうが、この日は聴衆の熱気と数台の石油ストーブで快適な環境でした。振興会の配慮に感謝いたします。


報告は、私と白帯&おぎんに分かれて発表。私は報告1「木綿街道の町家と町並み」と題する報告。時間も20分と限られていたので、大型町家に焦点を絞った発表としました。木綿街道で突出した存在である本石橋家と旧石橋酒造の大型妻入り町家の調査について、ヒアリングと建物調査により建築年代を推定し、17世紀に遡る可能性がある本石橋家(本家)は登録文化財から県・国指定への格上げ、18世紀中期と推定した旧石橋酒造(分家)は活用方針にあわせて登録文化財か指定文化財にするべきと提案しました。
そして、報告2「町並み・川並みの修景と撤去町家の修景計画」は3年生2名が発表しました。詳しくは、後日2人から報告いたします。ASALABの調査報告を受け、苅谷校長(小山高専、元文化庁鑑査官)と松本課長(島根県教育庁文化財課)のおふたりからコメントをいただきました。その後、3部のパネルディスカッションへ。わたしも恐縮ながら、講師の先生方とともに再び壇上に上がりました。司会は教授です。調査報告とは違い、アドリブが求められる立場でしたが、教授の円滑な進行のおかげで、和やかな雰囲気のもと順調にすすんでいきました。
会場には新聞5社のほか、地元ケーブルテレビなど報道陣も多数来場していました。新聞記事は現在山陰中央新報しか入手できていませんが、他紙も入手し次第、アップいたします。【タクヲ】

↑山陰中央新報 23面 2月27日付 ※クリックすると拡大表示されます
WEB上でも記事がアップされております。下記URLをクリックしてご覧ください山陰中央新報
http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=530613004毎日新聞
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20120227ddlk32040348000c.html朝日新聞
http://mytown.asahi.com/shimane/news.php?k_id=33000001202270002読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20120226-OYT8T00776.htm島根日日新聞
http://www.shimanenichinichi.co.jp/kiji/show/21036
- 2012/03/04(日) 00:00:33|
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