
大分のkyonkyonさん、お元気ですか?
3年3ヶ月ぶりに日田皿山の重要文化的景観「
小鹿田焼(おんたやき)の里」を訪れました。じつは、まる3年間愛用したミルク・ピッチャーを割ってしまいましてね。これが悔しいの。小鹿田焼は窯元でみていても、そんなに惹きつけられなかったんですが、家に届いて、他の器と並べると、断然輝いてみえる。味があると言ったほうがよいのかもしれませんが、日々使いたくなる民芸ほんらいの魅力があって、とくに紅茶にはまって以来、
ミルクピッチャーが体の一部のようになってしまい、割れたときは、ほんと辛かった・・・


窯元をまわる前に蕎麦屋に入りましてね。たしか、ゴボウ天麩羅蕎麦を食べたんです。壁に窯元の地図が貼ってあって、まぁ、そんなものはあってもなくても同じなんですが、左に貼り付けておきましょう。10軒の窯元のうち集落のほぼ中央にあるのが黒木富雄家で、道から工房まで8連の登り窯があって、よく目立ちます。しかし、店だなに並んでいる器は少ない。釜だしした器はすでに大量に売れてしまい、そこに残されたものは「傷物」の大安売りか、大皿などの高価な器のどちらかでした。こういうふうに、商品がほとんどなくなっている窯元もあれば、大量の品が店だなに置かれている窯元もあります。
窯元によって、作品の出来映えはちがう。それはよく分かりました。だから、購入した十数個の器は3~4の窯元に限られてしまいましてね。しかし、小鹿田焼の里が素晴らしいのは、窯元が共同で土を採り、作品に個人銘を入れることを慎むなど、小鹿田焼の品質をコミュニティとして保護する取り組みしていることです。つまり、「没個性」=「地域性」に徹し、ブランドとしての小鹿田焼のイメージを保持しようとしているわけです。いまは「知的財産」権がうるさくて、わたし自身、復元CGの掲載許可を滅多にださないことで悪名が高いのですが、落款を作品につけないところなどは尊敬に値しますよね。無署名の美学、無名の芸術。できれば、見習いたいけれども、研究という分野では、それでは済まされない問題も多々あるからな・・・


皿山のあとに重要伝統的建造物群の豆田を訪れたのですが、そこには小鹿田焼専門の小売店がありまして、窯元より良いものが並んでいました。値段もそんなに高いわけではない。だから、質のよい小鹿田焼を仕入れたいなら、あえて窯元まで足を運ぶ必要がない、ということでしょう。なんでも、窯元での窯出しの日は戦争になるのだそうです。要するに、奪い合いですね。その結果、窯元には、あまり良い器が残らない。正直なところ、「傷物」ばかりが並んでいるとも言えなくはないのですが、1000円未満で買える「傷物」のなかにも、味があるもの、良いものが含まれている。それを見る目を試されているのでしょう。
たくさんの器を買いました。前回は3つぐらいでしたが、今回は十数個買った。ミルクピッチャーも2つです。奈良の家にダンボール箱2箱分送りました。小鹿田焼は観賞のためにある器ではなく、ともかく使いたくなる実用的な器ですから、それだけ破損する可能性も高い。破損しても、まだ数があるというふうにしておきたかった。
この春は、因久山焼や牛ノ戸焼などの因幡の窯元もまわろうと思っています。小鹿田焼と並べて比べるとどうみるか、楽しみです。

↑バーナード・リーチの写真 ↓丸テーブルの上にある器はすべて買いました
- 2012/03/24(土) 23:29:49|
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久しぶりにコメントいただき、ありがとうございます。「犬のごはん茶碗ばい」とおっしゃるご友人にお伝えいただきたいのですが、皿山は陶芸の聖地ですよ。バーナード・リーチも柳宗悦も深く魅せられた。なにより、実用的で、無名性にこだわっているところがよいですね。前回は、唐津や有田を経由して皿山に入り、結果として、他を圧して皿山に惹きつけられました。だからこそ、再訪したんです。チャックはイベントを開催すると、いつも東京から馳せ参じてくれます。あれほど律儀な卒業生はなかなかおりません。御両親によろしくお伝えください。
- 2012/03/25(日) 15:29:27 |
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- asax #90N4AH2A
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