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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

西谷新田再訪(Ⅱ)

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茅葺きの里

 「清流の里」をあとにし、茅葺き民家の残る新田集落内の道を歩いてみました。集落内には茅葺き民家が何棟か残っていますが、多くは鉄板を被せています。しかし、茅露出の建物を2棟続きで発見しました。1棟はオモヤではなく附属舎のようですが、もう1棟(↑)は立派なオモヤで、大阪からのIターン者がお住まいになっておられます。なんでも智頭町役場で働いておられりそうですが、訪問時がご不在で「CLOSE」の札が立てかけられていました。このほかにも京都や神戸などからの移住者の方もおられると聞きました(「とんぼの里」にお住まいなのかもしれませんが)。大阪や神戸などから移住され、定住も考えておられる。都会の人をそうさせる魅力が、この集落にあるということでしょう。澄んだ空気、豊かな自然に恵まれており、棚田や茅葺き民家に代表される日本農村の原風景が残っているからではないかと思いました。休耕田もそれほど目立ちません。農業活動が盛んにおこなわれているからこそ、素晴らしい棚田の景観をみることができるのです。そしてIターン移住者が集落に活気を与えています。
 冬になるとこの周辺地域は大雪に見舞われます。多いときでは1日に70㎝も積もり、鳥取市内に比べて寒さも厳しそうです。この日も小雨が降っていたこともありますが、市内よりもやや肌寒さを感じました。しかし、「雨には雨の日の良さがある」というのが先生の口癖で、たしかにこの日の風景も小雨に煙り、幽玄な赴きを感じさせました。

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 環境大学は智頭町芦津地区で共同研究を進めています。ASALABは板井原(県選定伝統的建造物群)で文化的景観の研究に取り組んできました。しかし、西谷新田については、開学以来12年めになるのに、まったく関与してきていません。今年度の公立化に伴う環境学部第1期生の「環境学フィールド演習」を契機として、大学と新田地区の交流が深まるのを祈るばかりです。
 新学部の1年生には、先生がチューターで、プロジェクト研究1も「修験道トレッキング」となった沖縄出身のテポドンさん(仮名)という元気な女子がいます。また、同じプロジェクト研究には、山梨出身で匠くんの近所に住んでいたイッポ君(仮名)という登山好きの男子がいます。この集落と棚田を訪問すると、かれらはきっと大喜びするだろう、と先生は予想されていました。環境学部1年生たちの反応が楽しみです。

 集落の視察も一段落着いたところで、パン工房アイに戻って、予約しておいたパンや椎茸を取りに行きました。パンを取りおいてもらったのは大正解です。あれから客足が絶えることなく、戻ったときにショーウィンドウは空っぽになっていました。

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渓流の木橋

 帰り道にも素晴らしい棚田や風景があったので、何ヶ所かで停車し、各自のデジカメで風景を撮影しました。白坪というところには、木橋が残っています。もうよれよれで、橋脚を鉄パイプで補強してなんとかもっている状態です。まず体重の軽い白帯くんが橋を渡りました。それから、先生が「オレでも大丈夫?」と問われながら、白帯くんの方に進んでいくと、白帯くんは木橋が崩壊して渓流に落っこちるのを畏れ、対岸に向かって脱兎のごとくはしり去りました(笑)。先生がのっても大丈夫ということが分かったので、タクヲさん、私も続いて橋を渡りました。危なっかしい橋ですが、「渓流の木橋」はやはり風情がありますね。

 今年度後期のテーマを先生はすでに思い描いているそうです。パン工房のカフェで、「棚田と赤トンボと茅葺き民家」なんて、どうかなと学生に訊ねられました。西谷新田の風景からおもいついたとしか思えないテーマですが、なんとも良い組み合わせですね。後期というと10月からになるので、彼岸花から稲刈の季節になるでしょう。たしかに赤トンボも飛びまわっているでしょうね。とくに夕暮れ時なんて、とても綺麗な景色なんじゃないかなと思いました。
 ところで、先生に棚田と段々畑の違いを教えていただきました。作物の違いではありません。整地の仕方です。棚田は水田として利用されるので、各段すべてが水平にならなければいけない。対して、段々畑は、必ずしも水平である必要はなく、前方に向かって緩い傾斜がついていても問題ないということです。もうひとつ、土蔵(クラ)の妻飾りにみられる「龍」や「瀧」は「水」の象徴であり、防火の願いを込めたものだと教えていただきました。たしかに、新田集落の土蔵はそういう文字が書いてあります(↓)。他の地域では、もっと直接に「水」という文字を書く場合があるそうです。勉強になりました。(おぎん)

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  1. 2012/04/16(月) 23:38:37|
  2. 景観|
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