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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

金輪御造営差図の原図(Ⅱ)

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出雲大社宝物殿へ

 4月10日(火)。深夜のゼミ室で内職をしていたところ、教授からある資料を手渡されました。例の「金輪御造営差図」(原図)の特別公開に関する記者発表資料ですね。教授は「いちはやく現物を見たい」と言われるも、出雲での「原図」公開は報道発表からわずか3日後、そして3日間のみということで、スケジュールの調整ができないご様子。熟慮の末、ご自身は被災地訪問を兼ねて東北(宮城県多賀城市)での公開に行くことで落ち着き、ゼミを代表して私が視察に行くこととなった次第です。
 私自身、「金輪御造営差図」には思い入れがあるんですね。出雲古代歴史博物館で展示されている、出雲大社境内遺跡で出土した大型本殿跡の復元模型のひとつが教授によるものであり、その復元プロジェクトに私自身かかわらせていただいたのです。当時はまだ3年生で、正式に浅川ゼミへの所属が決まってから初めてのプロジェクトだったでしょうか。教授の指導のもと「金輪御造営差図」をはじめ、遺構図や文献と睨めっこしてああでもない、こうでもないと検討した日が懐かしいな・・・。推理小説を読み解くようで、楽しくてしょうがなかったと記憶しております。
 昔話は置いておいて、『金輪御造営差図』(原図)です。「原図」の視察にあわせて、木綿街道の追加調査および、おぎんの卒業研究テーマである「斐川平野の築地松」の視察なども含めて行程を調整したため、出雲大社を訪れたのは、15日の日曜日。公開の最終日となってしまいました。
 鳥取と違い、出雲はまさにお花見日和。黒松の千歳緑とソメイヨシノの桜色で彩られた参道には、透き通るような晴天も手伝って多くの観光客。参道のベンチでオニギリでも頬張りたいところではありましたが、なにより「原図」の公開を見なければいけませんからね。花より原図ということで、桜吹雪とお花見客を掻き分けて、出雲大社の宝物殿である「神祜殿」へ向いました。

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原図の観察

 「金輪御造営差図」に描かれる大社本殿の平面は、鎌倉時代宝治度年間造替の正殿が火災で消失後、正殿の復興を請願するために制作された設計図という説がある一方で、境内遺跡で出土した大型本殿遺構よりもひとまわり大きな規模の本殿を描く可能性も指摘されています。その「原図」と、近世に模写したとされる「写図」が展示されており、両者を比較しながら、教授が指摘していた点も確認できました。とくに引橋部分は「引橋長」と「一町」の文字列にズレが見られ、平面表記では社殿の軸線に対して5度ほど東に傾いており、軸組部の表記と比べてやや雑な印象を受けました。そのほか、全体的に文字の濃淡(劣化?)に差があり、字体(筆跡)も一様ではありません。記載に時期差があるのか、複数の人の追記によるものなのか・・・今後の分析が注目されます。
 また、写図に記載のない、岩根御柱の引橋側に書かれる「長・・・・」の文字列は、劣化のため目視では判別不可能。ただ、展示の解説には、「長八丈厚三尺五寸弘四尺三寸」とあって(赤外線分析によるもの?)、文字列の上に「柱」とあるので、部材寸法をあらわす可能性が指摘されます。これに従うと幅(弘)と厚みに八寸の差があるのですが、柱が楕円形だったのでしょうか? 実際、遺構からも楕円状の柱が出土しており、3本の柱材を1本に見せるための工夫であろう、と復元案で示した教授の見解に一致していますね・・・【教師註:写図では棟木が九丈、桁が八丈になっているので、ここにいう八丈は桁の寸法の可能性あり。厚三尺五寸弘四尺三寸は桁断面寸法では?】
 そのほか、確認した点を記しておきます。 

  ・「玖丈」(九丈)と記載のある棟桁?が、両側の桁よりもやや長く書かれている?
  ・梁と桁では一様に梁の幅がひろく見える?
  ・「国御沙汰」をはじめ、「御」の字の字体が各文字で違う?
  ・「写図」にない半円が描かれている北側の宇豆柱の、円の表記が何回か書き加えられている??

 来月には教授も多賀城まで見に行かれるので、どのような見解をされるのか、今から非常に楽しみです。(タクヲ)

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 ↑本殿の修理工事も素屋根の撤去が進んでおり、「ちゃん塗り」の千木や鰹木が姿を現している。

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 ↑出雲大社前の「神門通り」。古事記編纂1300年を控え大規模な開発が進んでいる。
  1. 2012/04/20(金) 23:51:10|
  2. 建築|
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まとめteみた.【金輪御造営差図の原図()】

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