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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

石窟寺院と仏歯寺 -スリランカ仏教紀行Ⅳ

 旅程: ダンブラ→マタレー→キャンディ(泊)

ダンブラ石窟寺院[世界文化遺産]→スパイス・ガーデン→アルヴィハーラ石窟寺院→仏歯寺(17世紀以降)

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↑↓ダンブラ石窟寺院
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 ふたつの石窟寺院をみた。
 ダンブラのそれはスリランカ最古の石窟寺院である。紀元前1世紀、シンハラ王朝のワラガムバーフ王はタミル軍の侵略をうけて、首都アヌラダープラを逃れ、ダンブラのランギリ・ロック(黄金色に輝く岩山)に退避していた。王は勢力を盛りかえして、まもなくタミル軍を撃退し、首都にもどるのだが、ダンブラの退去地に石窟寺院を建てたという。その後も歴代の王が石窟を新造もしくは改修してきていて、石窟寺院は5つに増えている。奥のほうから1800年頃~、紀元前77年~、1750年頃~、1200年頃~、紀元0年頃と年代におおきな幅がある。内部は横長の平面を利用して、「眠る釈迦仏」sleeping buddhaを中心とする構成をとる。涅槃仏とよく似ているが、両者の違いは、足の指の並び方に表現されている。

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↑↓ダンブラ石窟寺院の寝仏20060401043547.jpg


 石窟寺院と言えば、中国でさんざん遺跡をみて歩いた。そのなかで、いちばん古かったのは、たしか甘粛省の炳霊山石窟であったと思う。南北朝期のものである。スリランカのほうが遙かに古い。スリランカよりもさらに古いインドのアジャンタ石窟に想いを馳せた。
 
 シンハラ王朝がポロンナルワに首都をおいた時代にも、タミル軍の侵攻は断続的につづき、1474年には、とうとう南方のキャンディに遷都した。ポルトガル、オランダとの抗争をへて、1815年、イギリス軍によってキャンディは陥落し、シンハラ王朝は滅亡した。

 マタレーにあるアルヴィハーラ石窟寺院は、紀元前88年に仏陀の口伝がはじめて文字化された寺院と言われる。「不立文字」こそが仏陀の信条であり、個人的な修行瞑想こそを重んじたのだけれども、仏陀の弟子たちはどうしても仏陀の思想を後世に伝えたかったのである。しかし、その文字化によって、仏教の根本理念は少しずつゆがめられていく。
 石窟そのものは古いらしいのだけれども、アルヴィハーラの寺院建築と仏像は、キャンディ時代のものである。石窟は二つのみ。人間が悪業を積み重ねると、地獄に堕ちて、どんなひどい目に遭わされるのか、いくぶん滑稽な画調で壁画を描いている(下の写真)。

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 キャンディにとって最も重要な文化施設は仏歯寺Dalada Metigawaである。仏舎利は仏陀の象徴であるが、わけても仏歯は貴重な遺骨とされ、王権の象徴にすらなっていった。スリランカには、インドのカリンガ王子が4世紀に頭髪に隠してアヌラダープラにもちこんだのが始まりで、首都が変わるたびに仏歯寺も移転されてきた。仏教徒にとってこれほど重要なお寺はなく、仏歯収納室は1日3回の開扉にあたって全国からの礼拝者で賑わっている。その礼拝をプージャという。

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↑仏歯寺の仏歯収納室が開扉されたところ ↑仏歯寺の肘木と小屋組
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 キャンディでは「アーユルヴェーダ」を体験した。インドの古代医学に基づくエステである。とりわけ頭にハーブ・オイルを垂らし続けるシーロダーラが印象的。しばらく眠ってしまった。全身をハーブ・オイルマッサージし、その後、パック式スティーム・バスで体の水分を絞り出す。少し体が軽くなったような気がした。どちらかといえば、昨日と一昨日の熱射地獄のほうが、出汗は激しかったようにも思うのだけれども。
  1. 2006/03/26(日) 23:39:59|
  2. 史跡|
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