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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

茶畑のタミル人 -スリランカ仏教紀行Ⅳ

 旅程: キャンディ→タロウォケリ→ヌワラエリヤ(泊)

ペーラーデニヤ植物園(旧王立植物園)→タロウォケリ地方のヒンドゥー寺院と茶畑→ピードルー・ティーファクトリー→グランド・ホテル

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 朝起きてシャワーを浴びていると、左の耳に違和感を感じた。なにかが詰まって音声が聞き取りにくくなっている。
 昨夜は、遅くまでデジタル・データの整理や原稿の執筆に追われて苦しんでいたのだが、同行の学生は色香に誘われ、バーに繰り出してしまい、ほろ酔い状態で帰室するや否や大鼾で爆睡状態に陥った。疲れがたまっているから仕方ないとはいえ、内法寸法で60㎝しか離れていないベッドで眠るにはあまりにも煩く、トイレット・ペーパーを湿らせて耳栓とした。その耳栓がとれなくなってしまったのである。

 まず運転手のチャミンダさんが綿棒を買ってきてくれた。綿棒で耳の奥をつつくとガサガサ音がする。少しだけ紙がでてきたが、この綿棒によって紙はさらに奥向きに詰まってしまった感がなくもない。相変わらず音声は聞きとりにくい。つぎに近くの町医者に診てもらった。豊満なその女医は、懐中電灯で耳の穴をのぞきこみ
  「紙は耳のいちばん奥に入っているから、専門医に行ったほうがいいわ」
という。この助言にしたがい、市内の総合病院に移動した。さいわい耳鼻科はすいていた。ドクターは英国で医学を学んだベテランの医師である。その医者は、耳の奥でタイトに固まっている紙を
  「トイレット・ペパーでしょ?」
とあっさり見抜いてしまった。治療は耳かきも少しだけ使ったが、大半は針のついていない注射器による洗浄であった。この水圧が強烈で、しばし「痛い」という叫び声をあげたのだが、耳奥の紙は瓢箪形をした水の受け皿にすべてこぼれおちてきた。医者は、炎症を防ぐため、抗生物質と痛み止めの飲み薬、そして目薬のような塗り薬を処方してくれた。

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 こうしてかなりな時間を費やしたため、午前中は旧王立植物園の見学だけにとどまった。遺跡整備に携わる者にとって、植物園や庭園の視察は非常に重要である。

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 午後はリトル・イングランドと呼ばれるヌワラエリヤを目指した。ガンボラから山道に入り、ランボダの滝や海抜2524mのビドゥルタラガーラ山を左手にみながら車は高地をめざして蛇行を続けた。周辺は一面が茶畑である。茶摘みする女たちは、みなタミル人であるという。たしかにシンハラ人とは顔つきも衣装も違う。南方高山地帯にいるタミル人は、イギリス支配の時代にイギリス人が南インドから強制的につれてきた労働者である。かれらは村単位でヒンドゥー教の寺院を必ずもっている。パタンという村の寺院では、ツカンダ、ムルガン、カタラガマの3神を祭っていた。今日は、ヴァイルと呼ばれる女神祭祀の一日で、いくつかの寺院の門前は大にぎわいになっており、おかげで車は大渋滞に巻き込まれた。夕方見学したティーファクトリーも、今日はヴァイル祭だからと、仕事を早く終わらせていた。

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 ここでタミルの2重構造がみえてきた。古代からシンハラ王朝に侵攻し、北スリランカを占有したタミル人とともに、イギリス植民地時代に南インドから強制移住させられた茶栽培のための労働者としてのタミル人がいる。後者はスリランカの南方に居住しているが、シンハラ人との関係はそう悪くないという。しばしばテロや内戦をひきおこすジャフナ・タミルたちとは、おそらくまったく別の集団という見方ができるであろう。

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 海抜2000mの町ヌワラエリヤに着くと、とても涼しい。高原の穏やかな気候は、イギリスのそれと似ている。そして、わたしたちの宿泊しているグランド・ホテルもまた英国コロニアル様式の建物である。ホテルとしてオープンしたのは1891年だが、それ以前はスリランカの総督を務めたエドワード・バーンズ卿の別荘であった。このホテルのレストランで、同行の某学生がちょっとした暴挙をしでかした。その顛末については、いつかまたお知らせしよう。

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ピードルー・ティーファクトリーでの記念撮影。左から浅川、工場案内人(タミル人)、通訳のスサンタさん(シンハラ人)、某学生。

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  1. 2006/03/27(月) 23:07:44|
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