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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

のびたインタビュー(ⅩⅩⅩⅧ)-ヴェルトマイスターシャフト2006

 ノビタです。

 このシリーズを終えるまえに、ワールドカップ・ドイツ大会の総括をしておきたい、と思います。決勝の前に検証をはじめたいのです。第1回はシステム(陣形)をテーマにお話をうかがってみましょう。

N: 先生、いまどこですか?
A: 奈良だよ。昨日、竹中大工道具館で村松研究会があり、一年ぶりに太田先生と再会して、打ち上げで美味しいお酒が飲めました。
N: 何を飲んだんですか?
A: カルヴァドス。
N: そんなお酒あるんですか?
A: リンゴ酒の蒸留酒、つまりアップル・ブランデーだね。ノルマンディのカルヴァドス地方で作るアップル・ブランデーを、とくにカルヴァドスと呼ぶんだ。
N: 美味しいんですか?
A: ほんのり甘みのあるブランディーだね。食後酒としては、グラッパと双璧かもしれない。グラッパほど強くはないけど。
N: カルヴァドスがフランス、グラッパがイタリアだから、フランスはイタリアほど強くない、と読み替えることもできますね。
A: 読み過ぎだよ。変なメトニミー(換喩)を使いなさんな。
N: メトニミーって何ですか?
A: もういいよ。講義で教えたんだけどな・・・
N: さて、今回のワールドカップですが、まずシステム(陣形)から総括していただきたいんですけど、4バック1トップが主流でしたね?
A: そうだね。いちばん多かったのが、4-2-3-1。フランスやポルトガルがこの代表です。攻撃的なシステムだね。
N: このシステムの特徴を教えてください。
A: フランスの場合、ともかくジダンを中盤前方のど真ん中においておきたい、という発想が大前提としてあるんだね。アンリは1トップよりも2トップを好んでいるようだが、なにぶんジダンの存在が大きいから。
N: どこが攻撃的なんでしょうか?
A: ジダンの両サイドにウィング・ハーフを配しているでしょ。この二人が前線に出れば、即3トップに変わる。ウィング・ハーフが前に出て、敵にその裏を取られても、4バックの両サイドバックがカバーできる。
N: そう説明されると、オランダの4-3-3システムに近いようにも思いますが。
A: そうなんだな。4-2-3-1は4-3-3の変形だよね。ただウィング(ロッベンとファンペルシン)は4-3-3の方が前目で、センターハーフはオランダ(コク)がボランチの位置、フランス(ジダン)がトップ下です。
N: センターとともに、両サイドの陣取り合戦を制しようという目論見があるわけですね。
A: クライフが主張し続けているとおり、サイドを制するものはゲームを制する。サッカーの戦術がこの先どんなに変化しようとも、サイドからのセンタリングは不滅の攻め手です。日本には突出したサイドアッタカーが存在しない。杉山隆一が最初で最後のサイドアタッカーだった。
N: イタリアの4バックシステムには大会中に変化がみられました。
A: 1次リーグでは、4-3-1-2でスタートした。イタリアらしからぬ攻撃的な2トップ(笑)。
N: それが1トップに戻りました。
A: オーストラリア戦でマテラッツィにレッドカードが出て、10人になっただろ。あのときリッピは4-3-1-1で戦った。完全にゴールに鍵をかけて、最後にPKを得て勝利を納めた。改めてカテナチオの威力に気づいたんじゃないかな。「攻められる」のではなくて「攻めさせる」戦法の凄みが蘇ってしまった。
N: 以後、イタリアは4-4-1-1に陣形を変えました。
A: ゴール前に一列、ボランチの筋に一列、2重の守備網が形成される。これを崩すのは容易ではない。絶好調のブラジルだって、簡単には崩せないでしょうね。
N: 4-4-1-1の場合、カウンターでは3列目からの飛び出しが必要不可欠になります。
A: ペロッタとカモラネージだろ。ペロッタをみていて、日韓大会の稲本を思い出したよ。日本にもああいう動きをするボランチが絶対必要だ。フランスなら、ヴィエラのような存在。
N: イタリアはドイツ戦の延長でカモラネージとペロッタをイアキンタとデル・ピエロに替えてきました。
A: 勝負に出たわけです。ボランチのサイドにいる選手を前目の選手に替えることによって、4-4-1-1が4-2-3-1に変化した。
N: ということは、4-4-1-1も4-3-3のバリエーションの一つと言えるんじゃないですか?
A: それは違うね。4-4-1-1は4-4-2でもなければ、4-3-3でもない。イタリアに特化した超守備的システムです。今回、このシステムの偉大さを思い知らされましたね。
N: チェコとイングランドは4-1-4-1というシステムを使ってきました。
A: チェコの場合は攻撃的な4-1-4-1で、はまった時の強さは尋常でないけれど、イングランドは急増の守備的4-1-4-1で、今大会の場合、あきらかに失敗だった。通常の4-4-2で試合に臨めば、もっといい試合ができたはずです。エリクソン監督の責任だね。
N: ルーニーは1トップの犠牲者となって退場しましたが、ブラジルまで1トップに切り替えたのも驚きでした。
A: あえて図式化すると、4-3-1(カカ)-1(ロナウジーニョ)-1(ロナウド)となるのかな。
N: 機能しませんでしたね。
A: 自滅だったよね。フランスの中盤のプレスの餌食になってしまった。ロナウジーニョのボールタッチ数が激減してしまった。結論としていえることは、イングランドもブラジルも伝統的な4-4-2をいじる必要はなかったということです。
N: どうして3バックではなく、4バックが主流になってしまったのでしょうか。3バックの権化とも言えるドイツまで4バックに変えてしまいましたからね。
A: 二つの意味があると思うね。まずフラットな守備ラインを形成したいこと、そしてサイド攻撃に対する防御対策だよ。
N: 敵が2トップの場合、2ストッパーでは不安になりますが・・・
A: 2ストッパーと2ボランチでしっかりとしたブロックを作っておくこと、さらにサイドバックのカバリング能力を高めることによって、2トップ対策は万全になる。
N: 日本はなぜ3バックでスタートしたのですか? 先生も日本は3バックのほうがいい、と主張されていましたが。
A: 4バックの場合、4人全員がストッパーを務めることができるような守備能力が必要なんだ。ザンブロッタをみてみなさいよ。ストッパーに入れと言われたら、その役をこなせるだけの能力がある。加えて、サイドバックにはサイド専門の守備能力とサイドアタッカーとしての攻撃能力も要求される。ザンブロッタはそのすべてを備えている。日本のアレックスと加治はどうかな? 4バックのサイドバックに必要などれだけの条件をクリアしているだろうか。
N: ストッパーとボランチにも問題がありました。
A: 合格点を与えられるのは中澤だけでしょ。宮本のマンマークは問題外、福西はスピードがない、中田英は上がりすぎて裏にスペースを作る。もっと早く稲本と中田浩を使って、中田英をトップ下に上げ、中村をベンチに下げるべきだった。
N: 日本の場合、中央のブロック4名、サイドの2名ともに大きな弱点を抱えていたということですね。
A: だから、カバリング専門のスィーパーを置かざるをえないんだ。3バック選択の所以です。
N: 1トップについては、どうお考えですか?
A: 大変な能力が要求されるよ。アンリでさえ、苦労しているだろ。前線のターゲットとなるポスト・プレー、ヘディングの強さ、得点能力に加えて、敵の攻撃の起点となる選手に対するプレスも必要だ。いちばん似合っているのは、メキシコのボルヘッティかな。
N: 日本が1トップを採用する場合、適切な人材がいませんが、どうしたらいいでしょうか?
A: イタリア型の1トップは無理だね。フランス型の4-2-3-1なら、4-3-3の変形なんだから、できないことはないでしょ。FC東京とか浦和レッズはこれに近いシステムをとっている。
N: 日本はどういう方向に進むべきなんでしょうか。
A: トーナメントに勝ち上がってきたチームをみればあきらかなように、まずは守備組織を整備しなければいけない。防御率2~3点台の現実を改善して、なんとか1点未満に抑えたい。決定力がないんだから、防御率を下げるしかないんだ。4バック2ボランチもしくは4バック3ボランチで強力な守備網を作ってほしい。
N: 1トップを採用すべきでしょうか?
A: だから、3トップに早変わりできるような1トップがいいと思うんだ。釜本以来の強力なセンターフォワードと、杉山以来のサイドアタックのスペシャリストを育てることが急務だと思います。 (続)

  1. 2006/07/08(土) 15:09:39|
  2. サッカー|
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