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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

鳥取城石垣余材でつくるイロリの灰床

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 先週、イロリ班のメンバーを鳥取城の石垣修復現場に連れていったのは、石工の上月さんに面通しをしておく必要があると考えたからである。イロリの床下にめぐらせる灰床の壁を作るにあたって、平べったい石を積み上げて粘土で固める必要があり、思い立ったのが石垣の石の余材、すなわち「われコッパ」(別名「コッパ石」)の積み上げであった。イロリ班のメンバーには、「われコッパ」をたくさん集めてきてほしい。ただただ、そう思って、上月さんに学生を紹介したのであった。
 その後、上月さんは電話をくださった。石垣に積む石材が花崗岩であることを心配されていたのである。花崗岩は摂氏500度あまりの熱で砕け始める。あまりよい石材ではないのではないか、というご心配であった。わたしは、大丈夫です、とお答えした。火に接する石材ではなく、灰床の砂や灰を囲い込むための石材であり、石材表面の温度が摂氏500度に達することはありえないからである。
 今日のプロ研では、「われコッパ」集めをすることになり、イロリ班の男子たちは鳥取城に出かけていった。わたしは古材バンク班や火棚班の活動を視察して指導し、1時間ばかり遅れて鳥取城の現場に到着した。作業をみて驚愕してしまった。
 学生たちは立っている。ところが、上月工業のみなさんは石垣余材を破砕・加工して、灰床の壁石を仮組されているのだ。「われコッパ」ではなく、切石風の大きな石材で正方形の囲いを作っておられたのである。これは大変なことになったと、身が竦む思いがした。

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 ひとつの石材は30~40㎏ある。学生たちが、こんな重たい材料を運べるわけもなく、上月工業の若手お二人が倭文の加藤家まで軽トラで8つの石材を運んでくださった。感謝にたえません。学生たちは、「われコッパ」を土嚢に詰めたのが、城跡での唯一の仕事であった。
 しかし、学生たちも加藤家に戻ってから苦労していた。一度はイロリの真下に石を組もうとしたのだが、うまくいかないので、土間で仮組の仕直し。なんとかかんとか納まる直前の段階までこぎつけたはずである。
 このように、いろんな方々がわたしたちの活動を支援してくださる。「廃材の再利用」というコンセプトに共鳴してくだる県民は決してすくなくない。猛暑の午後ではあったが、気持ちのよい風が体内を吹き抜けていった。

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 火棚の製作も着々と進んでいる。フレームはすでに完成。神護で実測した火棚の寸法を借用したのだが、案外、木柄が太い。

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 火棚の上には黒竹の簀の子をつける。ツリーハウスと同じ保木本家の黒竹である。5月に訪問した際、大雪のために地面に倒れ込んでいる黒竹が目にとまり、それを伐採してきた。
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  1. 2006/07/13(木) 23:35:04|
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