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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

復原イロリの点火と調査成果発表会

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 今日はまず12時すぎから白兎会館で木造住宅推進協議会(木推協)東部支部例会に出席し、「ローコストによる古民家修復」プロジェクトの概要を説明させていただいた。加藤家住宅での第2回マスコミ公開を13時に控えていたので、プロジェクトの詳細についてはY助手にバトンタッチし、急ぎ加藤家へ向かったのだが、本日あつまったマスコミは3社だけだった。前回が10社だったので、3社では物足りないような気もするが、3社集まってくださるだけでもありがたいことである。

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 どうやら、「自在鉤」という道具のイメージが捉え難かったようだ。屋根裏からみつかった自在鉤はあきらかに江戸時代のもので、その黒光した光沢と細身の細工に目を奪われるが、「自在鉤」という用語を理解できないから、今回復原したイロリの重要性も分かっていただけないのかもしれない。とにもかくにも、加藤家には70数年ぶりにして、原位置にイロリが復活し、その自在鉤は江戸時代のものが再活用され、その他の部材は材料費ゼロで一定の根拠のもとに復原されたのである。

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 着火は午後2時過ぎから。管理者のKさんを中央にイロリの復原に携わった学生2名が脇を固め、チャッカマンでイロリに着火した。まさか学生たちがチャッカマンを使うとは夢にも思わなかった。どこかから種火をもってきて着火するだろう、と思っていたのは年寄の妄想であり、こういうところまで指導を徹底しなければ絵にならない。TV局のカメラマンも、さすがにチャッカマンには驚いたことだろう。あきらかに、わたしの指導不足でした。

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 少し予定を早めて、3時前から「研究成果発表会」をおこなった。Y助手の猛特訓でふらふらになった3名の女子が加藤家住宅の敷居沈下、柱傾斜、床下調査、屋根裏調査の成果を簡要に述べ、修復の方針を示してまとめとした。木推協や設計事務所の方々から続々と質問をいただき、活発な討議が交わされた。今回、1・2年生が作図した伏図の数々は、環境大学環境デザイン学科卒業生のレベルを上まわるものである。この点は見事であり、高く評価したい。ただし、わたしはこういう伏図を徹夜続きで学生に描かせることに反対し、何度か助手に注意を促したのだが、助手は聞いたふりをしながら聞く耳をもっていなかったのか(そうではないとかれは言う)、膨大な実測図とパネルとパワーポイントを学生に作成させた。これで良かったのか、悪かったのかはわからない。もうしばらくすれば、ことの成り行きがみえてくるだろう。

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 5時前からは第2回東方アジア比較居住学セミナーとして、長沼さやかさん(総合研究大学院大学博士課程)に「中国共産党政権下における水上居民の生活の変容」と題する講演をしていただいた。長沼さんは、わたしが京大大学院人間・環境学研究科で修士論文を指導した学生で、当時から広東の「蛋民」を研究テーマとしていた。今回は、講演のタイトルがとても刺激的であり、すいぶん期待していたのだが、正直なところ、その期待は半ば裏切られた感が否めない。1950年代から70年代にかけての「中国共産党政権下」の水上居民の実態がまるでみえてこないのである。タイトルにある「変容」とは、どう考えても「変容」ではなく、80年代以降の「現状」でしかない。それに、陸上がりした元水上居民の生活を紹介しているにも拘わらず、かれらの生活文化に「水」や「舟」の残像が読み取れない。これは、ある3年生の感想でもあった。本学の3・4年生は、わたしの授業「地域生活文化論」で「舟に住む」という講義を聞いているから、アジアの水上居住について、ある程度の基礎知識をもっている。かれらは、その続編のような講演を期待していたはずだが、今回のスピーチでは「水上」をイメージさせる映像はまったくみられなかった。
 6時すぎから、待ちに待った打ち上げ。復原したイロリのほか、座敷前の縁、玄関前、裏庭に分かれてバーベキューを食べ、おおいにはしゃいだ。鮎も鰻も栄螺も手羽先も、なにもかにもが美味しかった。とくにチャックが焼くとほんとにおいしい。これは万人がみとめるところである。問題は近隣住戸に対する騒音であり、できるだけ閑かにするよう努力したつもりであるが、あるいはご近所のみなさまに不快感を与えたかもしれない。苦情が来る来ないはべつにして、あらかじめお詫び申し上げておきます。

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↑特等席は座敷の縁。おじさんたちが占拠した。↓おじさんたちの相手をしてくれた唯一の女子学生!
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↑表庭 ↓裏庭
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↓イロリ端を占拠したのは、もちろんイロリ班。
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↓おやすみなさい・・・
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  1. 2006/07/25(火) 23:43:15|
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