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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

グラッパ vs カルヴァドス

 イタリアがフランスをPK戦で破ってW杯優勝を遂げた翌日、わたしとワイフと息子は押熊のイタリアレストラン「ら麦」に行って、グラッパで祝杯をあげようとしたところ、「ら麦」の建物が撤去され、さら地になっていたことをお伝えした(のびたインタビューⅩⅩⅩⅩⅡ)。グラッパとは葡萄酒の絞り滓を蒸留した焼酎で、ワインの香りを残した風味をわたしはたまらなく愛している。何度も申し上げるけれども、何種類ものグラッパを用意しているイタリア・レストランは決して多くない。多くないどころか、わたしの行動範囲においては、「ら麦」が唯一のレストランだったから、そのレストランの消滅に落胆したものである。「ら麦」のマスターには、食事に行くたびに、
   「今夜のグラッパはどれにしましょうかね?」
と相談し、マスターは料理にあわせて、毎回異なるグラッパをグラスに注いでくれた。ワインの数だけグラッパもあるわけだから、味も香りも微妙に異なる。グラッパに魅了されたわたしは、
  「どこに行ったら、グラッパを買えるんですか?」
とも聞いた。すると、マスターは、
  「大阪の専門店に行くと揃えていますが、なかなか手に入りませんよ。」
と答えた。いちどJR大阪駅の近くで、洋酒や輸入食品の専門店に入って、「グラッパはありませんか?」と店員に訊ねてみたのだが、「つい先日まで1~2種類おいていたのですが、今日はみあたりません」と言われ、がっくりした経験がある。
 昨晩は、再びワイフと息子の3人で外食にでかけ、その帰りに、押熊のグランマルシェという店を冷やかした。国内外のお酒と輸入食品をそろえたディスカウト・ショップである。しばらくふらふら歩いて、オリーブのピクルスを買おうかどうか、悩んでいたのだが、ある瞬間、グラッパのことが閃いた。近くにいた店員に聞くと、「ありますよ」とあっさり答える。たしかに、無数の洋酒が並ぶ棚のいちばん右下隅に2500~5000円のグラッパが数種類置いてあった。おかしい。「ら麦」とグランマルシェは1~2軒離れて同じ通りに面している。ひょっとすると、「ら麦」のマスターは嘘をついていたのかもしれないと勘ぐりたくなった。グラッパに魅了されたわたしがグランマルシェでグラッパを入手してしまうと、「ら麦」に来なくなる、あるいは来る回数が減ってしまうことを懸念していたのではないか。少なくとも、「ら麦」はグランマルシェからグラッパを仕入れていた可能性がきわめて高いであろう。
 だって、実際に目の前にはたくさんのグラッパが並んでいるのだ。
 続いてグランマルシェの店員に「カルヴァドスは?」と聞いてみた。すると、その店員は「ここです」と行って、グラッパの一段上の棚を指さした。たしかに3本のカルヴァドスが並んでいる。値段で分けると、2900円、15600円、30000円の3種類である。カルヴァドスについては、7月8日の「のびたインタビュー(ⅩⅩⅩⅧ)」をご参照いただきたい。カルヴァドスとはフランスのノルマンディ地方の地名だが、そこで蒸留されるアップル・ブランデーが「カルヴァドス」と呼ばれてブランド化している。太田先生のお奨めもあり、神戸オリエンタルホテルのスカイラウンジで食後に飲んだカルヴァドスは、リンゴの酸味と甘みをほんのり残す上品な味がした。
 結局、わたしはワイフに睨まれながらも、Boulardというカルヴァドス(2900円)とSassoaltoというグラッパ(3600円)を買うことにした。レジでさきほどの店員に質問した。
  「あの、3万円のカルヴァドスを買うような人はいるんですか?」
  「えぇ、先日、一人のお客さまがお求めになりました。」
  「これまで一人だけ?」
  「そうですね。」
  「そんなに売れなくても、おいておくの?」
  「はい、いろいろなお酒がそろっていることが、この店の価値を高めますので。」
 帰宅して、さっそく味見した。オリーブをつまみにしながら、飲み比べてみたのだが、カルヴァドスBoulardは不味かった。リンゴの残り香がまったくしない低級のブランデーである。料理酒に使うしかないかもしれない。一方、グラッパSassoaltoは懐かしい「ら麦」の味がした。というわけで、食後酒の対決はイタリアがフランスに圧勝!
 3万円を投資すれば、延長ロスタイム大逆転も、もちろん不可能ではない。

  1. 2006/07/29(土) 17:11:36|
  2. 食文化|
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殆どのフランス産ワインと同様に、AOC(原産地呼称規制)の対象である。「カルヴァドスAC」(Appellation Calvados contr?l?e)地区は、カルヴァドス県|カルヴァドス、マンシュ県|マンシュ(Manche)、オルヌ県|オルヌ(Orne)の各県の全域に加えて、ウール県|ウール(Eure)、マイ
  1. 2007/07/15(日) 12:56:48 |
  2. ワインをよく見てみると

ドリンク・イタリア社グラッパ・レゼルヴァ

商品はきちんとした梱包で、迅速に届きました。肝心のお酒のほうは、リーズナブルですが香りもよく、おいしく頂いております。試しに買ってみるのも、安いのでまあ許容範囲かと。近所のお店だとグラッパでは見つけるのも難しいので、こういう商品は楽天向きですね。この値段
  1. 2007/08/08(水) 07:03:15 |
  2. ブランデーがたくさん

ルモントン ヴュー・カルヴァドス1968年 

・牧家 オリジナルナチュラルチーズ・Allegresse bis・カルバドス・「ロイズ 生チョコ カルヴァドス」・カルヴァドス・カルヴァドス・ グラッパ vs カルヴァドス・ピーチ&カルヴァドスのフローズンカクテル・ カルヴァドス・ド・ペイ・ドージュ・ バロン・カルヴァドス
  1. 2007/08/09(木) 10:28:09 |
  2. ブランデーがたくさん

ラ・トラック・オルダージュ 40度 700ml

カルヴァドスの本場ノルマンディー地方で愛飲されています。7年以上熟成させたオルダージュは、りんごの風味が凝縮した濃厚で、奥深い味わいをお楽しみいただけます。オンザロックがオススメ♪・カルヴァドス・ グラッパ vs カルヴァドス・ ナントとフルーツブランデー・ 梅
  1. 2007/08/11(土) 08:29:25 |
  2. ブランデーがたくさん

グラッパの厳選紹介

・意外な薬の副作用・LAWRY&#39;S THE PRIME RIB tokyo・グラッパ・ディ・サッシカイア・グラッパ(食後酒)・西山酒造 神戸倶楽波(神戸グラッパ)ミストゥーラ・グラッパ♪ムフフ♪ロマーノ・レーヴィ・ グラッパ vs カルヴァドス・ 寝酒はブランデー・グラッパ♪ムフフ♪
  1. 2007/08/12(日) 16:34:33 |
  2. ブランデーの極意

本家魯班13世

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