8月
11日の午後、京都駅についたとき、蒸し暑い、と体が感じた。
夏の山陰は、たしかに暑いけれども、海風が吹いて一抹の爽やかさを感じさせる。それに比べると、近畿の蒸し暑さは絶望的だ。とくに、京都と奈良の暑さは、四神相応の盆地地形が災いして、世界有数の酷暑を実感させる。その灼熱の盆地のなかで、サッカーをしたのである。初日と
2日めの症状は、熱中症の一歩手前だった。ロスタイムの5分間が無限の時間として体感され、2日めはひとり途中でグラウンドを去った。
ところが、3日め(
16日)から台風の影響で曇り始め、風も吹いて、2日めまでの灼熱の太陽がどこかに消えてしまった。おかげで、体はすこしずつ動きはじめたのだが、こんどは右足のふくらはぎが軽い肉離れ症状をおこして、足をひきずってプレーするしかなかった。
今日も、近畿は曇っていた。しかし、昨夜のニュースによると、鳥取では36℃を記録したという。どうやら立場が逆転したようだ。
昼すぎに奈良を出発した。
ワゴンRで高速をひた走り、まずは社の父母を訪ねた。テレビをみると、高校野球の決勝、駒大苫小牧対早実の試合が始まっている。序盤、早実が優勢な試合運びを進めていたが、早くも3回、苫小牧はエースの田中を投入してきた。このタイミングはすばらしかった。あそこでピッチャーを変えていなかったら、おそらく早実は先制し、今日中に勝敗が決していただろう。

↑社町でみた二ツ眼の土蔵(円妙寺)。↓宿舎の裏庭に咲く百合の花。そして、蔦と笹。

社の家をでてから「
世界一美味しいラーメン」を食べるべく寿食堂に入った途端、8回表に苫小牧の選手がホームランを打った。3連覇濃厚と思わせる快音だった。それから再び高速にのった。車中でNHK第1ラジオにチューナーをあわせたのだが、ひどい雑音で、音声がよく聞き取れない。しかし、8回裏、早実は2塁打とエラー、そして特大の犠打で同点においついた。そこから、ラジオは鳴りっぱなしなのだが、音声は相変わらずよく聞こえない。しかし、放送は延々と続いていた。放送が終わらない、ということは勝敗が決しないことを意味する。車が用瀬に達するあたりで、ようやく放送が終わった。延長15回、1-1の同点で再試合。球史に残る決勝であった。田中と斉藤という二人のエースは、いずれも直球とスライダーを武器にしている点で松坂大輔とよく似ている。ただ、早実の斉藤のスライダーはフォークボールのように縦におちる。まれに本物のフォークボールも投げているようだ。そういうドロップ系のボールが、しばしば地面に落ちてバウンドする。捕手はこれをうまく体でとめていた。松坂がそうであるように、スライダー系の投手はフォークを使わないのが常識とされるのに、斉藤は二つの球種を使い分けているようにみえた。深夜のTVニュースでは、「明日は完封したい」と述べていた。端正なマスクをした、物静かな怪物である。

田園町の宿舎に着いたら、午後5時をすぎていた。外は猛暑だ。近畿より暑いではないか。風もない。今日は、夕暮れどきに裏庭の草刈りをすることに決めていた。テグスを回転させて草を刈る電動草刈り機の新品を買っていて、その草刈り機を使うタイミングをねらっていたのだが、それは今日しかない、と判断していた。この機械の操作には握力が要る。蒸し暑い夕暮れどき、汗をたらたら流しながら、草を刈った。長袖、長すぼんで、タオルをクビに巻いていたのだが、数匹の蚊がわたしの顔面と耳を集中的にねらって襲いかかってきた。ひどい奴になると、ずぼんの上から足を刺しにくる。蚊取り線香を焚き、かゆみ止めの薬を顔と耳に塗って、草刈りを続けた。

ものすごい汗をかいた。もちろん風呂に入りたいところだが、盆休みの前からガス湯沸かし器が壊れていて、明日、鳥ガスに来てもらうことになっている。だから、日の丸温泉にいった。そこで湯船につかろうとすると、知った顔に出くわした。
中国工業のHさんであった。明日から、
チャックとケンボーがインターンシップでお世話になる会社の社長さんである。じつは、鳥取西高の同級生。聞けば、毎日、日の丸温泉に通っているそうだ。しかも、平日は早朝6時に来て温泉につかり、それから出勤されるとのこと。チャックとケンボーは、早朝の日の丸温泉にもつきあったらよいのではないか。とりわけチャックは環境大学でも有数の早寝早起き学生として知られる。インターンシップでは、たしか、家具製造の原価を積算する作業を3人でこなすることになっていたはずだが、お風呂で積算の原理を学び、工場でそれを実践するのがよかろう。
裸と裸の付き合いである。
- 2006/08/20(日) 23:21:43|
- 研究室|
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