
ベトナム生活も5日目を迎え、食事や東南アジア独特の生活臭にも慣れてきたのだが、いまだに交通状況に恐れをなしている。チャックの見聞録にも綴られているように、ベトナムは昼夜クラクションの嵐に包まれている。車線はあってないようなもので、どの車も縦横無尽に暴走し続ける。無茶な追い越しなど日常茶飯事で、タクシーやバスに乗る際、いつもハラハラさせられてきた。ハノイからハロン湾に向かう観光バス(ドアトゥドアのミニバス)に乗って出発したのだが、このバスの運転にもハラハラさせられた。C助教授はバスの後部座席で一人悲鳴を上げっぱなし。助教授が事前に観光会社に尋ねたところ、観光バスなら一般のバスほど無茶な運転をしないとのことだったのだが、観光バスでこれだけ緊張させられるのだから、一般のバスに乗るとどうなるのか。想像するだけでゾッとする。

ハラハラさせられた3時間の後、ハロン湾の切り立った島々が我々を迎えた。中国の桂林をも凌ぐ絶景である。昼食をとってフロントに集合すると、今日のガイドを務めてくださるハオさんが出迎えてくださった。さっそくハオさんの手配した小型のクルージング船に乗り、一路水上集落を目指した。水上の漁業集落はハロン湾全体だと15ヶ所ぐらいあるらしいが、今日は4つの村をまわった。訪れた順に村名をあげておく。
Dau Go島 Lu Huang村
Hua Cuong村(Diamond Fishing Village):4・5年前にできた新村。
Dao Hang Trai島 Hang Tien Ong村
H. Vung Gianh村
ハロン湾の海岸から遠く、島影の入り組んだ湖水状のエリアに多くの水上住居が張り付いていた。初めてこの光景を目にするボクもチャックも驚きの声をあげた。おびただしい数の筏住居が島に近接する水面に浮かび、ひとまとまりの集落を形成している。家の前や横にイケスを設けて養魚をし、家畜をイカダに浮かべて共に生活をしている。ちなみに、養魚漕をもつ筏住居を、ハオさんは floating House 、養魚(養殖)をculture(cultivation)と英訳した。養殖=飼育は「文化」と同じ言葉であることを知り、また驚いた。観光客は世界遺産登録の前後で20万人から200万人に増え、それは漁民人口の増加を招いている。漁村人口の増加と養魚にはあきらかな相関性がみとめられ、水上居民の年収は増大し、定住性も高まった。

↑中央に浮かぶ円筒形の容器がゴミステーション。↓移動商店(行商)。陸地から野菜・水・雑貨などを売りに来る。

さらに驚いたのは、学校や公民館、さらにはゴミステーションまでもが水面に浮かんでいることであった(寺院だけは島の上に建設されていた)。住居が水の上にあることを除けば、陸上で暮らしているのとほぼ変わらないように思われる。むしろごみごみとした陸地に比べ、ゆったりとした波の上でゆったりと生活している彼らが少しうらやましい。
今日はゆったりとした波の上をただボートの上からその生活を見ただけであったが、ともかく驚嘆の連発であった。なにより海の上は気持ちがいい。じつに5時間をかけて4つの水上集落をめぐり、ボートから降りて夕食を済ませた頃には足に残っていた船の波打つ感覚が少し薄れているのが寂しく思えた。 (Mr.エアポート)

↑Hang Tien Ong村のカルチュア・センター。↓同左。船の模型をみながら、その豊富なバリエーションについてガイドに聞き取りするチャック。

わたしたち4名と通訳のハオさんをのせた船(Quynh Trany号)。1日の乗船料は決して安くない。
- 2006/09/08(金) 23:23:28|
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