
彼岸花をみると、秋の訪れを実感する。どういうわけか、田んぼのあぜ道の水際に群生している。綺麗な花には毒がある、という諺がそのままあてはまる有毒植物で、因幡方言では「シタマガリ」と呼ばれる。口に入れると、舌が痺れて曲がってしまうほどの毒性をもっている、という意味だ。ご存じのように、マンジュシャゲという別名もある。語源はサンスクリット語のmanjusaka(天に咲く華)で、その漢音訳が「曼珠沙華」である。なにやら話が仏教説話めいてきたが、これもよく知られた俗説ではあるけれども、中国の東北三省を包括するかつての地域名称「満州」は、「文殊」の転訛であるとも聞く。文殊菩薩の「文殊」で、サンスクリット語ではManjusri。満州の漢音Manzouにたしかに近い。彼岸花の中国語は「石蒜shisuan」。日本でも、彼岸花の茎を「石蒜(せきさん)」と呼んで、薬用に使った。毒と薬は紙一重也。

昼の学科会議の後、加藤家住宅プロジェクトのスタッフが勢揃いした。やはりメール交換にはない臨場感があって-あたりまえだが-、実り多い打ち合わせとなった。夏休み期間中は停滞していたように思えてならなかった修復事業だが、明日晴れたら古材倉庫の敷地整備が始まり、来週早々加藤家の敷地にプレハブが建つことになった。うまくいけば、来週の木曜日には、加藤家の家財をプレハブに持ち運びして、曳き家の準備段階に入る。
木工事の細部や工程についても、課題が煮詰まってきた。懸案となっていたサス兼タルキと2番桁の接合についても、おもしろいディテールがまとまった。軸部の構造補強の方針も固まった。工程もなんとか11月いっぱいを目途に終わらせようということになった。会議の詳細については、
Y2号が別途報告している。
加藤家の打ち合わせは午後3時までを予定していたが、しらずしらずのうちに時間はすぎてゆき、気がついたら4時になっていた。4時からは「青谷上寺地遺跡出土建築部材」に関するミーティングが入っていたのだが、来訪された埋蔵文化財センターのY係長とC技師を10分ばかりお待たせしてしまった。
青谷上寺地遺跡出土の建築部材については、あるおもしろいプランが進行中で、その記者発表が近づいてきている。その最後の詰めをするための下打ち合わせをしたのである。このプランのアイデアを出したのは、わたしである。だから、もちろん協力しなければならない。じつは、同じアイデアを昨年から何度か提言していたのだが、実現には至らなかった。それが、トップが変わったとたんに実現する運びとなった。
世の中とはこういうものである。トップが変わったことで、妻木晩田の仕事からは手を引くことになり、トップが変わって、なんのアクションもなかった青谷上寺地が動きだした。
11月初旬に日本のメディアを震撼させるぞ・・・なんちゃんって、大嘘ですから。
- 2006/10/04(水) 22:32:18|
- 建築|
-
トラックバック:0|
-
コメント:0