
昼休みを利用して、加藤家の修復現場を訪れた。職人さんは休憩中だったが、本日わたしに残された時間はここしかないので、昼休みにお邪魔するしかないのである。
修復工事が始まって、わずか4日を経過しただけだが、作業はずいぶん進んでいる。床はすべてめくられ、外回りの柱はジャッキアップされ、一部ではすでに柱の根継(↓
追掛大栓継)と土台の差し替えが終わっていた(加藤家のブログ「
倭文日誌」に差し替え部分が図示してある)。

工事初日、曳き家さんは
土台の傷みはひどくなく、再利用可能だと述べていたが、やはり現実は甘くない。仕事が進めば進むほど、土台の腐れが目立ってきており、当然のことながら、部材差し替えを余儀なくされている。表側「式台」の横にある2畳の小部屋も土台の内側が空洞化しており、差し替えることになった。柱の根継もしなければならないから、この場合、当然、壁土も落とす必要がある。

↑土間(北)側妻壁ジャッキアップ(いちばん上の写真が全景) ↓庭に搬出された北側妻壁の壁土

土間側妻壁の壁土はすべて落とされ、貫が露出していた。妻壁の部分では、どういうわけか土台がみあたらず、礎石の沈下も激しい。土台はどうやら腐ってしまったようで、ところどころに
土台痕跡の腐朽木片を残すのみとなっている。これが、土間側のひどい沈下(30㎝前後)の原因であることがわかった。妻側に関しては、貫も変えなければ使えない。さらにわたしたちは、梁に対してあまりにも細い柱に添柱をつけたいのだが、職人さんたちは必要ないと主張しているらしい。このあたりは、要検討である。
さらに、工事の大きな変更が一つ発生した。下屋に関しては、来年の補修にしようと考えていたのだが、当然ジャッキアップは下屋でもおこなわなければならないし、屋根改修工事にしても、下屋を一連で修復してしまうほうが素屋根代が安くつく。下屋の修復と言っても、基礎以外では、瓦屋根の葺き替え程度ではある。瓦をはずして下地や垂木の腐朽材を差し替えて、ゴムアス(防水シート)を張り、できるだけ元の瓦で葺きなおす作業である。鉄板葺きの大屋根については年内の改修完了をめざしているから、下屋の工事はその後ということになるであろう。予算が心配だが、施主のKさんは覚悟を決めていて、今年度中にできるだけ広い範囲の修復を終えてしまいたい、とのことである。もちろん経費の上増しは免れえないが、この修復が「ローコスト」をめざすものであることを忘れてはいけないだろう。

↑↓式台周辺のジャッキアップ

ところで、ここ数日、ブログへのアクセスが急増している。いつもの週末ならアクセスは落ち込むのに、
ユニークアクセス(UA)は90件以上あり、昨日(月曜日)に至っては、ユニークアクセス(UA)が141件、
トータルアクセス(TA)が421件を記録した。ここ数ヶ月で最高の値である。今日もいままで記事を更新していないのに、UAが110件を越えている。ちなみに、
先月までのUA平均は約86件/日、TA平均は約230件/である。やはり加藤家の修復工事が始まったことが大きいのだろうか。加藤家の修復工事については、本ブログよりも「
倭文日誌」のほうがさらに詳しいので、あわせてご参照いただければ幸いである。
床下でまがる柱。発掘調査で出土する建物遺構の解釈にヒントを与えるものである。
- 2006/10/24(火) 23:18:22|
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