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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

加藤家修復記(Ⅳ) -古材の転用に向けて

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 今日は午後から4つも会議があるので、午前中に加藤家を訪れた。
 前庭や土間で新材の加工が進んでいる。新材とはもちろん大引、根太、土台として使われる材である。
 わたしが現場に着くと、質問攻めにあう。ある柱を根継すべきか、全部とりかえるべきか、がいまはいちばん多い質問だ。やはり栗材はつよい。古材でもだいたい根継で済んでしまう。ところが、庇や妻壁に使われている杉材の柱は駄目だ。柱の上のほうまでヘナヘナに傷んでいて、1本丸ごと取っ替えることになる。管理人のKさんは「栗の柱に戻してもらいたい」というのだが、大工さんたちは「栗は貴いですよ」と答える。すると、「どれぐらい貴んでしょうか?」とKさん。「いまは檜より栗のほうが貴くつくんですわ」。
 ということで、現状よりもひとまわり大きな杉材に差し替えることになった。Kさんはまだ不満そうだった。太い栗の柱に戻したいらしい。このあたりは非常に難しい選択である。予算が十分あるのなら栗材を使いたい。しかし、予算が十分あるわけではない。しかも、研究の目的は「ローコストの修復」なのである。だから、いたずらに高価な材に差し替えるわけにはいかない。
 土間(北)側妻壁の添柱については、わたしのほうから自主的に職人さんたちに説明し、理解を求めた。妻壁の柱は細すぎる。上にのっかかっている梁の半分ぐらいしか断面積がない。ところが、畳間の柱は太くてしっかりしている。妻壁の柱も畳間と同じぐらいのスケールが欲しいのだが、新材に差し替えるわけにはいかない。そこで、古材の両側に板状の添柱を張りつけて柱全体を平の材に変えてしまうのである。もちろん添柱は古色塗りする。こうすれば、沈下の激しい妻壁部分の補強になるであろう。これについては、一定の理解を得たと確信している。

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↑土間(北)側妻壁 ↓同左 土台の痕跡(赤丸)。土台はほぼ完全に腐朽消滅している。土台の下に地覆はないが少し土をめくると小石の堆積を確認できる。 
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 いちばん良いのは古材の再利用である。できれば、どこかで解体される古建築から栗の柱をひろってきて再利用するのがいちばん良いのであるが、そう簡単にはいかない。現状では、古材倉庫建設予定敷地に土蔵の解体部材がころがっているだけだから、とりあえず大工さんに古材をみてもらうことにした。いま必要な材がそこにあるわけではない。しかし、古材を加工すれば「床束」「小屋束」「根太」などの材に十分転用できる。今回も必ず転用しようと打ち合わせした。そして、このような転用材の釘打ちを学生がうけもつことにしたいものだ。
 昨夜、あまり良くない知らせが届いた。林業試験場の大平さんと池田住研の社長さんで日野のコア(こけら)師中村さんを尋ねたところ、今回改修する屋根の軒付にコアを使うのは難しいという結論を得たのだそうである。50枚もの檜コアを重ねてとめるのは難しく、材も腐り安いとの判断らしい。とすれば、トチでいくしかないが、かりにトチだとしても施工は難しいので、原寸大部分模型ではトチ、実物の修復では集成材を使う可能性もでてきた。

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↑古材倉庫敷地で土蔵の古材をチェックする若い大工さん(24)

*加藤家の修復工事については、加藤家ホームページのブログ「倭文日誌」にさらに詳細な記録が掲載されています。

  1. 2006/10/25(水) 20:15:31|
  2. 建築|
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