fc2ブログ

Lablog

鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

加藤家修復記(Ⅷ)-差鴨居の腐朽

 鳥取環境大学の学園祭(環謝祭)も終わり、新たな一週間がスタートしました。修復工事9日目は、柱l13の根継作業(尻挟み継)が行われ、その後、柱K13~l13間、柱l13~l14間に新たな土台が導入されました(ちなみに柱K13~l13間、柱l13~l14間の土台の仕口は腰掛蟻継の手法を用いています)。また、その他にも柱G21、G19、H19、I19、K19のレベル調整、柱C21の添柱立てなどの作業がおこなわれました。(平面図に関しては、加藤家住宅のブログ「倭人日誌」10月29日に集成しています)。

20061030231521.jpg
↑柱l13根継(尻挟み継)完了 ↓(柱K13~l13間)、(柱l13~l14間)の土台導入
20061030231041.jpg

 ここ連日、柱のレベル調整がおこなわれてきましたが、レベルは柱筋Gの鴨居を基準にしています。また、曳き家さんの話によると、多少の微調整はあるものの、一通りのレベル調整は終了したそうです。その結果、目視すると敷居のレベルが一定なので見栄えがよくなっています。
 柱C21へ添柱を立てるために材を加工したいのですが、その最中にある事実があきらかになりました。柱C21上に載っている梁の木口を確認したところ、その一部が朽ちていました。居住者01号の個人的見解なのですが、梁が朽ちた主因は雨ではないでしょうか? 妻側を北面(外)から確認すると、隅木・垂木を切断した跡が残っています。妻側の軒先は当初は今以上に長く、雨の被害を防ぐことができたけれども、軒先を短くしてしまったせいで、雨の被害を受けるようになったのではないかと思うのです。この問題を解消するためにも、添柱や、階段室設置用の柱を建てることは非常に重要なポイントになりそうです。職人さんも、添柱を建てれば大丈夫だろうとおっしゃていました。

20061030231020.jpg
↑柱C21上の桁(木口) ↓隅木・垂木 20061030231027.jpg

 最後に、柱B13~D13のあいだに新しい柱を立てた方が良いのではないか、とういう内容を加藤家住宅修復工事録(8日目)でUPし、先生からご意見を頂きました。そして本日、その内容を池田住研の社長さんに伝えました。その後、問題となる箇所をさらに調べていくと、柱B13~D13間に用いられている差鴨居が朽ちているということが判明しました(腐朽の範囲は柱B13の内法から西方向へ約300mmまでです)。また、それと同様に柱B13も朽ちており、機能していませんでした。
 これらを修復するためには、柱B13~D13の間に新たな柱を立てた後、壁を塗りなおすのが一番かもしれません。しかし、それでは現状の姿が大幅に変わってしまいます。そこで、現状の差物は残し、その下に新たな平ものを通した上で、それを新材の柱で受けさせるという修復案が出されました。

20061030231059.jpg
↑修復案について検討する池田住研の社長さんと職人さん






  1. 2006/10/30(月) 23:17:59|
  2. 建築|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0
<<屋根の側窓 -田和山から | ホーム | 『オシムの言葉』に寄せて(Ⅰ)-北京1992>>

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://asalab.blog11.fc2.com/tb.php/727-d3d8f8bc

本家魯班13世

08 | 2023/09 | 10
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Archives

Category

Links

Search