修復工事も10日目に入り、加藤家住宅の姿も変化してきています。本日は、大学でゼミがあったので、午前中のみの記録となりますが、以下の工程で工事が進められました。
1)柱A21~G21間の土台修理
→継手の手法を金輪継から腰掛蟻継へ
2)柱C21~E21の微調整
前日まで、柱A21~G21間の土台は金輪継の手法で継手されていたのですが、構造的面から考えると、水平方向の継手は腰掛蟻継(こしかけありつぎ)の方が好ましいという理由で継手が変更になりました。ちなみに、この継手は柱A21~G21間の土台と柱F21~F23間の土台との繋ぎとしても使われています。
また、土台修理と並行して行われたのが根継された柱C21~E21の微調整です。その最中、職人さんが柱E21を改めて調べてみると、材の芯が朽ちているということが分かりました。この柱には根継が施される前から、込栓用の穴が開いていたのですが、どうやらその穴から白蟻が入ったみたいです。芯が朽ちた柱E21は新材に差し替えることになりました。

↑腰掛蟻継の手法が用いられた(柱A21~G21間)の土台 ↓朽ちた柱E21

上記の他に、今回大きく変更になった箇所があります。柱B13及び、柱B13~D13間の
差鴨居が朽ちているということを昨日報告しましたが、先生と大工さんさんたちの協議により、差鴨居を補強するための修復方針が決まりました。
①柱B13を差し替えます(この時、柱B13と双子柱になっている半柱に沿うようL字形に加工し、全体の断面が長方形になるようにします。)
②柱B13~D13間の差鴨居は朽ちている部分を切断し、根継を施します(根継により、鴨居上部に設けてある土壁は一度剥がしますが、また塗り直します。)
③柱B13~D13間の鴨居の下に新たな横材を通します。
④柱B13~D13の間に新たな柱を一本建て、柱B13とともに荷重を受けます(なお、新たに立つ柱の下には土台が差し込まれる予定)。これで、構造は安定します。
最後に、今日(2006年10月31日)まで根継や差し替えなどの工事がおこなわれた箇所を記入した図面をUPします(赤で塗られた部分は、新しく差し替えられた土台を示しています。また、緑で塗られた部分の柱が根継されたことを示し、青で塗られた柱はまるごと差し替えられたことを示しています。)
- 2006/10/31(火) 21:30:31|
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