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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

のびたインタビュー -青谷上寺地遺跡の建築部材をめぐって

 ノビタです。

 今日の取材は、サッカーについてではありません。青谷上寺地遺跡出土建築部材の記者発表が2日後に迫ってきて、もう先生におすがりしかない状態なんです。それに、大学もざわついているようですし・・・。

N: 先生、『オシムの言葉』の書評には感激しました。
A: いや、ありがとう。いつも辛口のワイフが、あの書評は誉めてくれたよ。
N: えっ、奥様は辛口なんですか?
A: 辛口さ、たとえば「海住山寺」のブログなんて、けちょんけちょんです。
N: そうなんですか。ところで、母校がざわついてますね。昨晩は全教職員会議があったんでしょ? 同業者が取材したようですね。
A: あれね、なんで新聞記者が入ってくるのかって不思議で仕方なかったね。なぜ大学当局は公開に踏み切ったのか、意図が読み取れないよ。
N: わたしが在学中から、あの先生たちのメールが流されていて、もちろんわたしは今でもあのデータを保管していますが、それがこのようなかたちで報道されることになろうとは思いもよりませんでした。ところで、こういう話題を続けてもいいんでしょうか?
A: 当局の側が昨日の集会をマスコミ公開してるんだからね。ブログでどうコメントしようが、当局に責める権利はないよ。いま毎日、各紙から青谷上寺地遺跡の件で取材をうけているんだけど、大学のこともついでに訊かれるね。基本的にはノーコメントなんだが、大半の記者は「昨年からくすぶっていた問題ですよね」という訊き方をしてくる。みんな相当情報をもってるね。
N: それにしても、入試を控えるこういう時期に、ああいう事件が公になるのは困ったものですね。
A: そのとおりだ。今回、新聞沙汰になった騒動の最大の問題点は何か、というと「新聞沙汰になってしまった」こと自体にある、とわたしは思っている。これは情報を流した側にも責任はもちろんあるが、情報の流出をくいとめられなかった経営者の側にも大きな責任があると思う。もともと一部教員側は「訴訟も辞さない」として怒っているんですよ。その教員たちを、なぜさらに激昂させてしまうのか? ここはなんとしてでも、怒っている教員をクールダウンさせ、時間をかけた話し合いの場に持ち込むように誘導すべきであって、怒っている教員をさらに怒らせてしまったのでは話にならない。
N: その結果メディアに情報が流れてしまったんですね。こうなると、調停役が必要ですね。
A: そうだよ、大物の調停役が必要です。
N: さて、本題は青谷なんですが、なんでまた、この時期に記者発表になったんでしょうか?
A: 青谷上寺地遺跡からは7000点の建築部材が出土していて、昨年からその整理とデータベース化が始まったんだ。今回、整理が終わった500点ばかりについて、インターネット上でデータベースを公開することになった。
N: それはすごいことなんですか?
A: 全国に先駆けた公開です。奈文研も桜町遺跡(富山)も、まだ建築部材のデータをネット上で公開していない。鳥取が全国初なんだよ。今回は500点だけなんだけれども、この先ずっと更新していって、最後は7000点すべて公開する予定なんだ。
N: そりゃ、すごいですね。今回公開される500点のなかに「弥生時代最長の柱」と「日本最古の蟻桟(ありざん)」が含まれていたわけですね。
A: そうです。
N: 「弥生時代最長の柱」って、またすごいですね。
A: すごいよ、細いけど長いんだ。
N: 細くても、高層建築が造れたってことですか?
A: そうだよ。もともとわたしは「楼閣否定論者」だったんだけど、撤回せざるをえない状況でね。倭人伝にいう「楼観」(物見櫓)の実在を決定づける物証だね。
N: CGで苦労しているらしいですね。
A: わたしは苦労してませんよ。学生が寝てないだけだから。
N: すごいレベルのCGだと聞いています。
A: だれから聞いたの?
N: えっ、・・・ホカノ君です。
A: ったく、あいつは口が軽いな。まさか画像をみたんじゃないだろうね!?
N: 見せてよ、って頼んだんですが、断られました。
A: 困るよ、おまえ、そういうの越権行為だよ。11月10日の解禁を守らなかったら、記者クラブから村八分にされるよ。
N: 分かってます。もうひとつの「日本最古の蟻桟(ありざん)」についてもお聞かせください。
A: あれは玄人受けする材だね。いま加藤家の修復でもさんざん「蟻継(ありつぎ)」使っているでしょう。あれが、弥生時代まで遡るわけ。
N: そうなんですか!? なぜ、そんな昔に高等な継手仕口が作れたんですか?
A: 金属器の導入が大きいね。鳥取では、弥生時代の前期末~中期が鉄器の導入期だからね。精巧な継手仕口を作れるようになったんだな。それと材料がスギでね、とても柔らかい。竪穴住居にはスダジイやクリしか使わないのに、掘立柱建物の材料はスギに特化している。もうこれはね、建築の系統がまったく違う証拠です。
N: どう違うんですか?
A: 縄文以来の在地系と大陸からの外来系じゃないかな。
N: えっと、どっちがどっちなんですか??
A: あのさ、もうこれぐらいしか答えられないから。これから先は10日の記者発表でしか話しません。
N: えっ、でもまだ各社の取材を受けるんでしょ?
A: 明日のプロジェクト研究の時間なんだけど、加藤家に4社が来ることになっているんだ。対応が大変だわ。
N: それじゃ、ぼくも行きます。なんで、加藤家でなんですか?
A: 時間がもったいないのと、加藤家も来週、公開を控えているからね。その宣伝もしなきゃなんないからさ。
N: 加藤家の公開も取材します。ちゃんと取材しますから、青谷のことをもっと教えてください。
A: それじゃ、また明日。(たぶん、続)


  1. 2006/11/08(水) 22:46:28|
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