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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

組み上げ間近!-池田家墓所光仲墓の玉垣

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 午後から池田家墓所の工事現場に行ってきた。ほとんど1年ぶりの視察である。3年がかりの大仕事となった初代藩主光仲墓の玉垣修復。今日までに、地覆石の据え直しがほぼ完了していた。玉垣はまだ組みあがっていないので、あいかわらず墓碑と亀趺の姿はよく見える。
  「亀趺を使っているのは光仲だけだったかな?」
  「いえ、他の藩主も使っています」
  「松江の亀趺なんかと比べると、光仲の亀趺は頭が小さいねぇ?」
  「そうですねぇ、ただもう少し大きな頭の亀趺もありますけどね」
という会話をハマダバダと交わしていたところ、わが西校の同級生クマさんが割って入ってきた。
  「わたしの、怖い怖いかみさんによりますとですね、藩主墓の亀趺の頭は、その下に埋まっている歴代藩主の顔とよく似ているというんです・・・」
 これは卓見かもしれない。十分ありうる話である。

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 今年のビニールハウスは昨年のものよりも大きく、また値段も高いもので、中に入ると、あの懐かしい断裂した石の唐破風が置いてあった。ピエールと宮本が、炎天下のなか、熱射病になりそうになって実測した唐破風である。熱と赤外線に犯され半死寸前のふたりにハマダバダは缶コーヒーを差し入れした。だれがどう考えてもスポーツドリンクだと思うのだが、缶コーヒーをもらった二人は真っ赤な顔をして研究室に戻ってきた。振り返るに、あのころが研究室の最盛期ではなかったか・・・
 ピエールは卒業論文で、対馬藩宗主墓の例を参考に、断裂した2材を雇いピンで接合する代替案を提唱し、みごと最優秀論文に輝いた。しかし、今回の実施工事では雇いピンを使わずにエルパテという樹脂を2材の間に埋め込んで、下からスティールで持ち上げるのだという。大丈夫かな??・・・とも思ったが、ハマクマ・コンビのお手並みを拝見させていただこう。

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 昨年度修復した金三郎墓も、もちろん覆屋がはずされ、完成した姿を四方に晒していた。はじめてのご対面である。よく出来ている、とわたしは思う。まるで木造建築の解体修理のように、玉垣が継ぎ接ぎされているのである。笠石と地覆は当初材、柱は中古材と新材で、それらはみえない位置では雇いピンで接合され、破損部分はエルパテ剤を充填され、さらに笠石の下をステンレスプレートで繋いでいる。笠石は掴みのステンレスで前後に落下しないようにもされている。景観的にはこの「掴み」がいちばん目障りだが、わたしは構造補強が外にみえる修復を好んでいるので、なんとも思わない。一般市民はお気に召さないかもしれないが、こういう補強をしないと当初材を残せないという現実を知っていただきたい。いま、玉垣を眺めると、新旧の当初材・中古材・新材がパッチワークのように織り合わさって見難いという意見もあるかもしれないが、すべて南田石(のうだいし)を使っているので、時がたてば馴染んでくるだろう。
 ちなみに、福部産の南田石(凝灰岩)はすでに採石不可能と言われていたが、今回は福部町某家の土蔵地覆に使われていた材をお譲りいただき転用したそうである。良かった。すばらしいことだ。これからの修復では、こういう幸運には恵まれないかもしれないが、県内の凝灰岩で似たものを探せばよいだろう。

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 帰学後、「平成19年度鳥取県環境学術研究費」の公募要領に関する説明会が開かれた。県の担当部局のYさんが説明してくださったのだが、これまでの採択研究には「施行性、実用性が低い」という指摘が県議会等であるらしく、県の行政に資する研究であるべきことを強く念押しされた。わたしは基礎研究の大好きな研究者だが、県の環境学術研究費については、いつでも県の文化財保護行政に対する貢献を最優先したテーマで取り組んできた自信がある。平成17年度の「国史跡『鳥取藩主池田家墓所』の整備に関する実践的研究」は、まさにその代表であり、今年度の「ローコストによる古民家修復手法の開発」もまた同様である。県では、「研究期間終了後5年間は、研究成果の実用化・施策化の状況に関するフォローアップ調査」をおこなうのだという。
 どうぞ、おこなってください。繰り返すけれども、わたしたちの取り組みは県の文化財保護行政に大きく貢献している。そうでないと言う方がいたら、どうぞこのブログに厳しいコメントをお寄せください。

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↑笠石下側の構造補強 ↓貫の新材に「H17」の刻印を施した。みえますか? 濃い鼠色の部分がエルパテ。
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  1. 2007/01/22(月) 20:01:52|
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