昨日(30日)、鳥取県木造住宅推進協議会(木推協 http:/www.tottoriken-mokuzo.com/)西部支部の依頼により米子市の白鳳の里「淀江ゆめ温泉」大広間で、「古代建築の復元」と題する講演をおこなった。天気予報では雨のはずだったのに、空は晴々、気温は上昇、午後2時からの妻木晩田遺跡の視察を終えた段階で、すでに熱射病に近いグロッキー状態となってしまった。そのまま白鳳の里「淀江ゆめ温泉」で、ゆららぁ~の湯ぅ~、といきたいところだったのだが、そんな願いが叶うはずもなく、大山乳業の優品「かぼちゃアイス」を食して気力をふりしぼり、講演にのぞんだ。
わたしと木推協との交流は、今年の3月5日からはじまった。中部支部長・倉恒さんの熱心なお誘いにより、倉吉で「歴史的建造物の修理」という短い講演させていただいたのである。このときは、古材をできる限り再利用する文化財建造物の修理についてしゃべったのだが、今回は、オーセンティシティやらラスキンやらなにやら持ち出して、むしろ建造物・遺跡の修復整備に関する理論的側面を強調する講演となった。
言いたかったことは何かというと、要するに、遺跡のオーセンティシティは「遺跡」そのもの、あるいはそれをはぐくんだ「地形」、あるいは遺跡や地形が生み出した「景観」にあるから、大切にまもらなければならないのは遺跡と地形と景観である、それに対して、復元建物にはオーセンティシティがないので、まったく不要だとは言わないけれども、遺跡整備の主役に躍り出てはいけない、あくまで脇役に徹するものでなければならない、ということである。昨年度、わたしたちがイングランドにまで出かけて遺構露出展示の手法を視察し、覆屋の設計に取り組んできたのも、以上のような認識を背景にしているからである(『仮設構法による巨大露出展示空間の創造』2005)。
米子の「がいな祭り」と日程が重なり、聴講者の数は多くなかったが、松江からは古建築に造詣が深い山村さん(中国ジェクト)、鳥取市河原町の林業試験場からは大平さんが来場された。じつを言うと、次の講演は日本木材学会中国・四国支部2005年度研究発表会の公開シンポジウム(9月9日@鳥取県民文化会館)で、その事務局を務める大平さんが予備視察に来られたのである。シンポジウムの詳細については、後日、ホームページとブログの両方で報告します。

この素晴らしい景観をまもるためにも、復元建物の数を抑制する必要がある。

旧東樋口研究室の1期生・山本達矢くんと再会。いまは米子市の音田工務店勤務。夜の懇親会も、音田社長とともに12時までつきあってくれた。さすが、バレーボール日本海リーグ1部のアタッカーだけあって、背が高いね(185㎝)。

夕方からの懇親会を仕切ったのは、技術委員長の小田原さん。ロック好き、ブルース好き、ゴルフ好きの小田原さんは朝日町&角盤町にも知り合いが多く、いろいろな店の改修等に携わっている。1軒目は「何でもあり」のお好み焼き屋さんで、板目杉板張りの壁に落語や藤山寛美の松竹新喜劇のDVDを映している。また、照明の傘は大きめの空き缶をリサイクルしたもの。なにやら「茶室」との親近感を抱いた。3軒目のショットバーには、なんと米子城の大梁を2本転用している、というから覗いてみた。本物の可能性大、です。聞くところによれば、米子城の古材は銭湯に売り払われ、すべて薪になるところだったのを、某氏が一部を買い取って保存していたのだという。ノビタ君、さっそくこの店を視察し、ついでに米子城に登ってきなさい。絶景だそうだよ。
- 2005/07/31(日) 15:51:43|
- 講演・研究会|
-
トラックバック:0|
-
コメント:0