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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

池田家墓所修復工事現地説明会

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 小雨が降りしきるなか、池田家墓所光仲墓玉垣修復工事の現地説明会が17日に「雨天決行」された。開始30分前を目安に現地に到着した。その時点では来訪者は疎らであったが、説明がはじまるころには約40名までに膨れており、池田家墓所の保存修復工事に対する関心の高さが伺えた。
 さて、本日の現地説明会は、初代藩主・光仲墓の玉垣・廟門を組み上げる作業の過程等を公開することを目的としている。説明は、もちろん光仲公の墓碑前ではじまった。まずは事務局長より挨拶があり、つぎに幹事のハマダバダさんによって、光仲墓玉垣の修復のプロセスが詳細に解説された。その概要は、以下のとおり。
  ①初代藩主池田光仲墓の特徴
    池田光仲公の略歴/池田家墓所の創設期/墓碑・玉垣の特徴
  ②平成16年度 玉垣・廟門の解体
    玉垣・廟門の解体作業の進め方
  ③平成17年度 玉垣部材の修復
    分裂した玉垣の構成石材(地覆、柱、貫、笠石、唐破風)の接合方法
    古材と欠損部分に補填した新材との区別する意義
  ④平成18年度 玉垣・廟門の復原と構造補強
    玉垣の金属による補強方法/分裂していた唐破風の固定・補強方法
  ⑤修復工事による新発見
    地覆石にホゾがあるのもと、ないものの2種類が用いられている。
    地覆石が2種あることから、江戸時代に修復がなされたこと示している。
    光仲墓周辺の土地造成手法。

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 このあとビニールハウスへ移動して、説明が続いた。そこには、分裂した唐破風が接合を終え、ステンレスの台座に据え付けられた状態で置かれており、唐破風の修復方法について、「唐破風はステンレスの台座で支え、台座は背後の控え柱で固定させる」とか「ガッチリとした接着はおこなわず、緩やかな接着により今後の解体修理を容易に行なえるものとしている」などの説明を受けた。
 説明終了後には質疑がおこなわれた。唐破風については
  「唐破風と台座の間を埋めている接着剤は何か?」
という質問があり、
  「エポキシ系の樹脂だが、封入材として使用しており、雨水の浸入を抑えるために施している」
との回答があった。
  「唐破風に固定されていない棟飾はこれからどうするのか?」
という質問に対しては、
  「唐破風を玉垣に据え付け直した後、固定位置を見極め、モルタルで接着する。」
とのこと。さらに、全体の保存修復計画に関わる質問として、
  「廟所建物の復元はされないのか?」
と問われたが、
  「廟所建物の復元は今のところでは計画にあがっていない。」
と返答された。
 この後、池田家墓所管理人の方によって、光仲墓周辺に位置する墓碑の解説が行なわれて、光仲墓玉垣・廟門の修復についての現地説明会は終了した。光仲墓玉垣修復の細部の写真については、追記に紹介しておく。

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 ところで、唐破風の設置作業は、次週から始まるそうで、これについては、微妙な調整が伴うので作業状況次第で19日~20日のどのあたりにあるかはっきりしないらしい。この作業工程も抜からず見学しようと思っている。そして、唐破風の設置後にも現地説明会が再び催されるとのことだが、日程は今のところは詳しく聞いてはいない。(某大学院生)

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↑唐破風背面
唐破風はステンレスの台座で支えられる。切断部分を埋めるモルタルのようなは「エルパテ」と呼ばれるもの。ステンレスの台座と唐破風の隙間にはエラスグラウドを充填する。






↑修復された玉垣のようす ↓玉垣修復の概略図



 光仲墓玉石垣の構造補強は、最も景観に配慮したもので、笠石単位ごとに両脇の2箇所にステンレスピンを挿入し、笠石と柱頭を固定する。また、地覆石の下に基礎を敷き、基礎からステンレスピンを通し、地覆石と柱根を固定する。ステンレスピンの固定には、シリコーン、エラスグラウドという粘性のある接着剤で、振動が加えられても部材に追従する利点を持つ(使用箇所については図を参照)。 

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  1. 2007/02/18(日) 00:06:23|
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