行程4日目(3月23日)の目的は、昨夏に調査したHang Tien Ong村を訪れることである。その場所を提示するためにも地図を持参して、ホテルのツアー・カウンターへ行ってみた。ただし、私は英語が苦手である。だから、電子辞書を片手につたない英語で訊ねてみた。Hang Tien Ong村に行けるツアーはないのですか、と聞いたのだが、答えは「ない」。ただし、昨夏の調査では日帰りが可能な範囲なのは分かっているから、さらにいろいろ聞いてみたのだけど、戻ってくるのは「できない」という返事だけだった。なので、ほかに何かプランはないですか、という質問に変えると、ホンガイ沖に向かい、時計回りに進む航路があって、3つの水上集落を見ることができるという。その薦められたプランをお願いした。

↑海上からみたホンガイ
そんな紆余曲折を経て、3月23日は世界自然遺産に登録されたハロン湾の北西部を巡るクルージング船に乗船した。ハロン湾には、ポッカリと島がない部分があるから、ちょうどそれにあわせて移動するという説明が分かりやすいだろうか。
その航路上には、大まかに3つの海域に水上集落が形成されている。それらは、北を0時とする時計に見立ててみれば、一つは、バイチャイの岸沖一帯の海域で0時から1時の辺り、2つ目はスンソッド洞のある周辺海域で6時の辺り、3つ目はファ・クング島の周辺海域で8時の辺りにあった。
まずは、ホンガイ沖にあるBien Moには、3つの島で囲われた湾のなかに水上レストランと大きな養魚漕をもつ筏住居へと辿りついた。この筏住居は、湾の中心に位置して、北側島岸には墓地も有している。この様子をみて、ここは昨夏の9月10日の調査の時に訪れた場所だということが分かった。そして、ここを離れてホンガイの陸地に沿い東へと航行する。

↑レストランの正面 ↓背面にある養魚漕と居住棟

ハロン市ホンガイは港町であると同時に炭鉱の町である。だから、運搬船や小型船が集うにぎやかな場所であった。そして、この海域には、H Vung Chua付近に島があり、水上集落群が形成されている。こちらは、島岸沿いに筏住居を浮かべるものや、初日に訪れた水上集落のようなまばらに浮かべる筏住居群があった。その水上集落ようすを眺めながら、今度は進路を南側にとると、特に水上集落や漁船を見ることはなく、海と奇岩峰が続く景色が続いた。

↑H Vung Chua付近の水上集落群
ホンガイから離れて1時間半ほど経ち、次の水上集落であるスンソッド洞付近に形成された水上集落へと辿りつく。ここはDu Bienと呼ばれ、半円状の湾のなかで岸沿いに集落を形成する。湾に奥にはスンソッド洞前の船乗り場がみえ、いくつかの観光船が寄港していた。それもあってか、ここでは貸カヌー業を営む筏住居もみられる。

↑スンソッド洞付近の水上集落群
最後に訪れた水上集落はHoa Coung島の南西に位置する村であった。集落はV字状に切り込む湾のなかに形成される。湾の入口の中央に大きな養魚漕をもつ筏住居がひとつ浮かび、それ以外の筏住居は島岸に沿って並んでいる。この集落では、観光に伴う施設が見られない。だからなのか、筏の上で釣りをして日常の生活を送っている住人もおり、視察に訪れた水上集落のなかでは最も漁民の生活が感じられる場所であった。(某大学院生)

↑Hoa Coung島南西ある水上集落
- 2007/03/31(土) 01:58:37|
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