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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

アコギな奴ら

 昨夕、さんざん悩んだあげく、奈良に向かって発車した。田園町に戻り、「昇龍」で久しぶりにピータンと餃子をサカナにして紹興酒をすすり、最後は中華丼で締めて、あとは爆睡という筋書きを描いていたのだが、考えてみれば木曜日で「昇龍」は定休日。これは「田園町に戻るな!」という神のお告げだと判断し、国道53号線を南下、智頭の「因幡っこ」で定食をたいらげ、大原のファミリーマートでユンケルを注入して、体に気合いを入れた。しかし、今回はユンケルがさっぱり効かない。ドライバーは睡魔に悩まされ続けた。結果、加東市社町にある父母の家で休憩し、1時間以上眠ってしまった。おかげで体力は回復したが、奈良の自宅に戻ったら日付変更・・・

 1週間ほど前、ソロ・ギターのスコアが5冊になったことをお知らせしたが、スコアに付いているCDは教則用としてだけでなく、音楽作品として十分通用するものが少なくない。これを車でよく聞いている。いちばん驚いたのは、『ソロ・ギターの饗宴』というスコア。吉川忠英、吉田次郎、古川昌義という3人の名手が以下の6曲を競演している。

  1.チェンジ・ザ・ワールド(E.クラプトン)
  2.哀愁のヨーロッパ(サンタナ)
  3.ロマンス~禁じられた遊び(N.イエペス)
  4.ダンス・ウィズ・ミー(オーリアンズ)
  5.少年時代(井上陽水)
  6.第三の男(A.カラス)

 この6曲は、季刊『アコースティック・ギター・マガジン』の読者アンケートによって決定したものだという。そこでわたしは、はじめて『アコースティック・ギター・マガジン』という雑誌の存在を知った。
 帰宅すると、注文していた3枚のCDとともに『アコースティック・ギター・マガジン』のバックナンバーが1冊届いていた。同誌№27は「高田渡特集号」。2005年4月16日、55歳で他界した高田渡の追悼特集号である。わたしが高田渡に影響を受けていないわけはない。1971年に出たLP『ごあいさつ』の「銭がなけりゃ」はある時期、わたしの十八番であった。1971年というと、高校1年生なんだな。あのころは、マーチンD35そっくりのモーリスのギターに加えて、バンジョーとフラット・マンドリンをもっていた。そういえば、最近出たニールヤングの『ライブ・アット・マッセイホール』も1971年の録音で、『ごあいさつ』と同時代だったんだと思うと感慨一入である。
 ところで、アコースティック・ギターのことを世間では「アコギ」と略称しているらしい。わたしは、そんな呼び方を知らなかったのだが、この2ヶ月あまりのあいだに、アコギストたちの音楽をずいぶんたくさん聞いてきた。やや分析的になってしまうけれども、アコギストたちは以下の3グループに大別できるのではないか。

  A.ジャズ系もしくはロック系のエレクトリック・ギタリストがアコギを使って演奏するケース: 渡辺香津美、吉田次郎、BAHO(チャー&石田長生)、クラプトンなど
  B.フォーク・ギターの表現力を最大限に活かしてインストルメントな音楽を追究している演奏家たち: 中川イサト、吉川忠英、古川昌義、石川鷹彦、岡崎倫典など
  C.ギターは唄の伴奏楽器だという認識のもとに、唄を引き立てる演奏に徹しているシンガー&ソングライター: 高田渡、西岡たかし、ニール・ヤング、ジャクソン・ブラウンなど

 Aのグループのうち渡辺香津美や吉田次郎は高度な音楽教育を受けており、技巧と理論で群を抜いているが、どこか「研究者」っぽいところがあってつまらない。テクニックには度肝を抜かれるけれども、人の胸を打つ音楽を作っているか、と言えば?? 個人的な感想を述べるならば、クラプトンはもちろんのこと、BAHOのほうが渡辺や吉田よりもユニークな音楽活動をしていると思う。言い換えるならば、教育・教養が音楽を無機質なものにしてしまっている(その点、坂本龍一は異質だ)。音が生き方を映し出しているのであろう。
 Bのグループは基本的に有名な歌手のバック・ミュージシャンとして生計をたてている。アコースティック・ギターに大変なこだわりをもっていて、自らソロ・アルバムも作っているが、そのアルバムはマニアックすぎて、あまり売れない。しかし、アコギに対するこだわりには爽快感を覚える。スコア集を出版しているのもこのグループ。
 Cはたたき上げのシンガー兼作曲家。この人たちの演奏技術は決して高度ではないが、きわめて個性的で、唄を引き立てるツボを心得ている。なにより、人を感動させる得体の知れない力をもっている。

 高田渡の記事を読み、わたしはまたしても、ネットでCDとDVDを注文してしまった。これを買わないわけにはいかない。残念だったのは、かれの唯一の著作『ヴァーボン・ストリート・ブルース』(山と渓谷社)が絶版になっていること。古本ならなんとか手に入るが、値段は1万円近くまでつり上がっている。だれか貸してくれないだろうか。



 
 

  1. 2007/04/06(金) 23:00:09|
  2. 音楽|
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