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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

生活の柄

 今夜はやられてしまった。
 
 家内の母、つまり、おばあちゃんもそろそろ家事に疲れてきていて、今晩は外で食べようということになり、息子がお気に入りの「丹永亭」に行くことになった。そこで、患者は「天丼」を注文した。なんで「天丼」なんだろう、と訝しく思いながらも、わたしと息子はいつもの「ひもざる定食」を注文した。このうどん屋さんはうどんはもちろん美味しいが、「玉丼」が抜群で、「ひもざる定食」を注文すると、その「玉丼」と「ざるうどん」の両方が食べられるのである。
 ほかの4名のオーダーはテーブルに並んで、みんな食欲旺盛に箸を進めているのに、家内の天丼だけがなかなかできてこない。ようやく、おねぇさんがテーブルに天丼をもってきた瞬間、
  「あっ、ちがう。わたしの注文したのは・・・これじゃなくて、・・・それ・・・」
  「それって玉丼??」
  「そう、玉丼・・・」
 息子はやさしい。大好物の「玉丼」をさっと母親に差し出し、母親の「天丼」をとりあげてパクパク食べ始めた。母親はなんども「玉丼」を息子に返そうとするが、息子は頑として受け取らなかった。
 じつは、このうどん屋さんには因縁がある。2月12日に2度めの出血をみた前夜、息子と家内とわたしはこの店で夕食を食べたのである。その夜も、わたしと息子は「ひもざる定食」を注文していた。「天丼」という失語症状が、そんな記憶を蘇らせた・・・

 帰宅とほぼ同時に、アマゾンから宅急便が届いた。一昨日注文した高田渡のDVDとCDである。それからまる2時間、わたしは「タカダワタル的」と題する2枚組のDVDに吸い込まれていた。知事選の結果なんてどうでもいい。戦艦大和の映画もどうでもいい。ただ、横長のパソコンのモニターに映る高田渡の映像にだけ神経を集中させた。じつは、いまも「Wataru Talkada Ren Takada “27/03/03”」というCDを聞きながら、このブログを書いている。映画「タカダワタル的」の撮影が真っ最中だった2003年3月27日、NHK-FMの番組「ライブビート」のために収録された伝説のライブ。高田渡が息子の漣と二人だけで競演した希有なライブ録音であり、解説文を執筆しているNHKのディレクターは、これを「奇跡」と表現している。

 DVD画面のなかの高田渡は、わたしたちが高校生のころのアイドルだった高田渡とは別人のようにもみえる。50代前半にしては顔の皺が深く、歩き方も頼りない。しかし、かれの唄と演奏の芯にあるものはいっさいぶれていない。純なまま大きな幹になって、だれも達し得ない次元の世界に踏み込んでいた。これ以上、言葉にならない。こんな音楽と30年も離れていたなんて。一度もライブを聴きにいかなかったなんて・・・
 こういう気持ちになったのは久しぶりのことだ。2年前の夏休みにスコットランドの離島を訪れて、夕暮れの湖の風景を眺めながら、「なんて馬鹿げた生き方をしてきたんだろう」と感じ入り、自分の存在を消してしまいたくなった。あれ以来のことではないだろうか。
 今夜は駄目だ・・・
 合掌。



  1. 2007/04/08(日) 23:51:09|
  2. 音楽|
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