2年生対象の必修科目「建築と都市の歴史」で、GW前にホームワークとして以下の課題を出した。
課題: GWの連休を利用して神社を訪問し、その
本殿をスケッチして
レポート用紙の裏側に貼りつけるとともに、その神社の歴史をまとめ
(400字)、本殿の様式を示しなさい。
4期生のときに、この課題を始めた。4期生のスケッチはなかなか力作が多く、優秀作品をコピーして受講者全員に配布した。はじめて試みた野外調査のホームワークに手応えを感じ、翌年も同じ課題を継続したのだが、残念なことに、5期生の出来は惨憺たるものであった。5期生に対しては、
「優秀作品集を作る気にならない!」
という感想をはっきり述べた記憶がある。
さて、今年の6期生はどうだろうか。これがなかなか良いんですね。学生数は減っているけれど、レポートは4期生のレベルに回復している。いや、ひょっとしたら、4期生を上まわっているかもしれない。以下、優秀作の寸評です。
1041078 聖神社本殿・拝殿(鳥取市)
環境政策学科の4年生。デザイン学科ではないけれど、よく描けている。拝殿と本殿のバランス、軸部と屋根のバランスが絶妙! 千鳥破風+軒唐破風の屋根は描きにくいだろうに、みごとな遠近感と細部を鉛筆で表現している。
1062001 宇部神社(因幡一宮/国府町)本殿・拝殿 
すこし消失点がずれているが、そこがまたとぼけた味わいになっている。女の子らしい可愛い作品。
1062012 玉祖神社拝殿(生駒市) 
ペン描きの秀作。本殿でなく拝殿を描いている点とパースっぽくないところが難点といえば難点だが、ペンのタッチに味わいがある。こういうスケッチをペンですらすら描けるなら大したものだ。
1062004 神魂神社本殿・拝殿(松江市) 
絶妙の遠近感で本殿と拝殿をとらえている。スケッチ以外にも、出雲大社の「男造り」に対して神魂神社の「女造り」を図示するなど、レポート全体としてレベルが高い。
1062033 中山神社本殿(津山市)
非常に精密なパース。建築を学ぶ者は、こういうスケッチをめざすべきだろう。全体のボリューム感覚や遠近感だけでなく、組物など建築細部の観察がゆきとどいている(千木の形状だけが残念・・・)。
1062036 滝宮天満宮本殿(香川)
本殿を細部まで丁寧に描いている努力作品。ただ、やや遠近感が狂っていて、背面の屋根が大きすぎるね。前の屋根がやや長く、後の屋根はもう少し短くみえるはず。樹木の表現はgood!
1062018 大國魂(おおくにたま)神社拝殿(東京都府中市) 
こちらは拝殿を描いているが、やはり背面の屋根が大きすぎるね。本殿でなく拝殿を描いているのも残念だが、「本殿は公開されておらず目にすることができなかったので」という但し書きあり。
1062032 多居乃上(たこのうえ)神社拝殿(国府町) 
鉛筆描きながら、ひょうきんな味わいがでていておもしろい。難点はパースではなく正面図になっていて、本殿が拝殿に隠され、屋根しかみえないこと。
1062025 粟島神社拝殿(米子市) 
定規を使って正面図風に仕上げている。几帳面なんだね。几帳面なんだけど、まろやかさがでて漫画チックなのは、やはり女の子だからだろうか。拝殿だけで、本殿がないのはやはり良くないけど。
1061012 宇部神社(因幡一宮)拝殿 
環境政策学科の2年生。スケッチらしいスケッチだね。上手いと思います。やはり拝殿が主体で、本殿の屋根がほんの少ししか映っていないけれど、これで少しアングルを変えて本殿も含めていたら抜群だったでしょう・・・
- 2007/05/15(火) 01:39:26|
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